1980年代に登場、奇抜なスタイルで一世を風靡した、いすゞ製大型路線バス車両の「キュービック」シリーズ。2025年現在も、1990年代に製造されたものが現役で使われている光景を各地でまだまだ見かける。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、2024-25年春時点での現役キュービックの写真があります)
■熊本市内で活躍していた元・ハマっ子
今回は2024〜25年の時点で記録を取った現役のキュービックから何台か紹介しよう。1台目は2024年9月当時の九州・熊本にて。
市内中心部でバスウォッチをしていたところ、青と白のツートンカラーに塗られた産交バスの大型路線車が偶然通り、その車種がキュービックであった。
ワンステップ仕様で中扉に4枚折り戸を装備した、都市部での通勤等に対応したバリエーション。3ケタナンバーのため、末期製造の生え抜き、もしくは他のバス事業者で使われていた経歴を持っていると見られる。
答え合わせをすると、このキュービックは1999年式のKC-LV280Lであった。神奈川県の横浜市営バスが新車で導入し、一定年数を経て引退後、産交バスが中古で購入して今日へと至っている。
なお同車は2024年の終盤に、熊本市街地から13kmほど離れた営業所に移ったようで、その後“職場”が変わった模様。
■岩手で発見! 転職好きなキュービック
2台目のキュービックは東北地方の岩手県より。2025年5月に、一ノ関〜気仙沼を鉄道で結ぶJR大船渡線の千厩(せんまや)駅から少し歩いた場所にある、千厩バスターミナルに留め置かれていた。
岩手県交通の車両で、今やかなり数を減らしたツーステップ車。前が2枚折り戸、中央が引き戸の標準的なドアパターンを持つタイプだ。
3ケタナンバーから、他のバス事業者から転職した1台かな? と想像させられる。確認してみると、このキュービックは1998年式のKC-LV280Nであった。
東京都/埼玉県にバスネットワークを持つ国際興業から2010年度に来た車であるが、さらに前歴があり、兵庫県の淡路交通が初めに導入したのだそう。多彩な職歴を持つ存在と言える。
移籍してきた年度からも察せるように、首都圏などのディーゼル排ガス規制にかかるキュービックが多い中、この車には対策が施されているようで、前面に「H17 八都県市 粒子状物質減少装置装着 適合車」のステッカーが貼ってあった。
■見るからに、むちゃくちゃ古そう!?
3台目もまた2025年5月の岩手県内にて。JR盛岡駅東口のバスターミナルに、ごく普通の路線バスの便として入ってきたキュービックだ。
こちらもツーステップ仕様で、2枚折戸と引き戸を組み合わせた標準的なドアパターン。車体後部に注目すると、これまた貴重な「柿の種」と呼ばれる昔の汎用テールランプが付いていた。
しかもこのキュービック、車体が錆びや歪みで大分くたびれていて、見るからに古そう……。足がけ16年ほど作られたキュービックの中でも、車齢高めなのは間違いないか!?
見た目に反して3ケタナンバーなので、新車の時から盛岡界隈にいたわけではないと思われる。さてどんなプロファイルの持ち主なのか。
年式を確認してみたところ何と1993年式。30年ランナーの大台に乗った完璧なネオクラシックだ! 型式で言うとU-LV324Kになる。これは素晴らしい!!
ナンバープレートが示す通りの再就職組で、元は国際興業の車。国際興業での引退後に岩手県交通にやってきた流れだった。
ちなみに盛岡駅周辺で、この他にも別の1993年式キュービックや、もう少し車齢の若いタイプのキュービックが走行している姿を目撃、あまりにも普通にキュービックがいる光景にシビれまくった。
どうやら岩手県交通には、まとまった数のキュービックが今も所属している模様。そうなれば盛岡駅とその周辺は、いすゞキュービックをお目当てにバスウォッチするなら、かなりアツい場所ということになりそう!
【画像ギャラリー】こんなところにキュービック〜熊本県と岩手県〜(8枚)画像ギャラリー
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