「バス停」といえば、あくまで実用重視ということで、必要な設備だけを盛り込んだ事務的な作りのものが多くを占める。とはいえ、場所によってはその土地ならではの見どころを詰め込み、ご当地感を前面に出した微笑ましい装飾が施されていることもある。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、ご当地系上屋の写真があります)
■ご当地系上屋(1)〜ナマコ壁〜
バス停に装飾が施される代表的な設備として、利用者が雨風を一時的にしのぐための屋根・上屋(うわや)と、扉の付いた待合所が挙げられる。
ここでは便宜的に待合所も上屋の一種にまとめて進めるが、今回は北海道の各所で見かけたご当地系上屋を3つほど紹介しよう。
まずは道南エリアの松前町、函館バスの路線が停まる「唐津」バス停より。このバス停の木古内方面の車線側には、標準的な形状のバス停標識と、扉の付いた小さな待合所が設けてある。
この待合所には、江戸時代の建築様式を彷彿とさせるクラシカルなデザインが施してあり、建物の腰から下にバッテン模様の入った「ナマコ壁」風の演出が最大の特徴。
松前には日本式のお城としては最北に位置する松前城があり、現在は観光地として親しまれ、城下に相当するエリアの建物も同様に、江戸時代の街並みに寄せた外見で揃えてある。
唐津バス停は城下に比較的近い場所にあり、江戸情緒を楽しむ“つかみ”の部分に一役買って、ムードを高めてくれている。
■ご当地上屋(2)〜ブドウ〜
2つ目は十勝エリア、JR根室本線の池田駅の向かいにある、十勝バスの「池田駅前」バス停より。このバス乗り場には、金属製の柱と樹脂のパネルを組み合わせた、アーチ型の上屋が1つ建っている。
アーチ型上屋自体はポピュラーなスタイルと言えそうだ。ただし池田駅前のものは妻面にその土地ならではの遊び心が見られる。
妻面にステンドグラス風の飾りパネルがハメ込まれており、描かれているのは果物のブドウである。
池田といえばワインが自慢。駅から1kmほど進んだ先には、ワイン醸造施設で観光スポットの「いけだワイン城」もある。
同地がワインの名産地ということで、バス停にもワインの原材料となるブドウがテーマの装飾を施して、ご当地感を演出しているわけだ。
■ご当地上屋(3)〜タンチョウ〜
3つ目に注目するのが釧路。JR釧路駅の向かいに伸びる北大通りを少し行って、くしろバスの「十字街7丁目」バス停まで足を運ぶとご当地系上屋が出迎えてくれる。
金属製の重厚なスタイルをした上屋で、骨組みのデザインに合わせるようにして設けた、円形のフレームにハメ込まれたステンドグラスが大きな見どころ。気になるステンドグラスの模様は、天然記念物のタンチョウである。
姿を見るだけで同地を連想できるほど、タンチョウは釧路エリアを象徴する鳥であり、郊外に少し出れば、本当にその辺にいるくらい身近で愛しい存在。
そんな釧路のアイドル・タンチョウをステンドグラス化して、バス停の装飾に盛り込むとあれば、ご当地感を盛り上げてくれる手堅くステキなエッセンスに思える。
【画像ギャラリー】ご当地系バス停上屋コレクション〜北海道編〜(9枚)画像ギャラリー

















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