バスの運転ができるというと、お世辞を含めて「すごいですね」と言われる。しかし運転するだけであれば、普通免許を持っていればよほど狭いところに入るとか、狭い交差点を曲がるとかいう場所でなければ特徴さえ理解してしまえば、難しいものではない。普通乗用車と比較して何が違うのか運転上で異なる点を思いつくままに書いてみた。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はすべてイメージであり本文と直接関係はありません)
■幅は2.3から2.5メートル
明らかに異なるのは大きさだろう。単純に全長と全高と全幅が普通車よりも大きい。運転上で困るのは全長と全幅だ。記者が普段運転する中型路線車の場合は、全長9m、全幅2.3mである。大型路線車の場合はもう少し大きくて、全長10.5mから11m、全幅2.5mだ。高速バスや貸切バスに使用する大型車は全長が12m、全幅は大型路線車と同様で2.5mである。
幅が物理的に入らなければ通行は不可能だが、一般的な2車線道路を走る分には左右に気を遣えば走ること自体は普通免許であっても問題にはならないだろう。ただし大型車同士の走行中離合や、路駐車をかわすとなるとビビるかもしれない。
路線バスを営業で運転する場合には中型車と大型車の全幅20cmの差は、バスベイを出るときやバス停直前の路駐車をかわす際に大きな差と感じることはある。20cmの差で不便なななことは、ベビーカーが前扉から乗れるか乗れないかの差だろうか。
■長さの問題よりも車輪の位置
全長が長いと後ろが直接は見えない。車輪の位置がバスならではで、特に前輪は運転席より後ろにあるのが、普通車と大きく異なるところだ。長い全長を操るために、曲がる際にはずいぶんと前に出してからハンドルを切るが、曲がり始めるのは座っている運転席よりも後ろの前輪なので、足元の先に前輪がある普通車と同じ感覚というわけにはいかなだろう。
ただ走る分には問題ないが、左右どちらかに障害物がある場合にハンドルを切ると、前は問題なくかわせても実は後ろが当たる。いわゆるリアオーバーハングと呼ばれるものだ。
後輪もまた最後尾よりも前にあるので、後輪よりも後ろの車体はハンドルを切ったのとは逆の方向にはみ出してしまう。これが10cm程度であれば障害物があっても当たらないが、70cmだとどうだろうか。かなり余裕を持たせたつもりでもハンドルを切って走り出したとたんに後ろの車体が障害物に接触している。
営業運転中のバスが気を遣うのは、バス停を出るときだ。なるべく歩道に近づけて停めてあげたいが、直前に路駐車がいると、出る際に右いっぱいにハンドルを切らなければならなくなる。そうするとリアが当たってしまうので、泣く泣く離して停めなければならなくなるのだ。普通にバス停に付けて緩やかなハンドルで出ることができるのであれば、普通車を路肩に寄せて出るのと同じで難しくはない。
■車庫入れは全長が長い方が易しいかも?
後ろが見えないくらいに長い車体をバックさせて車庫に入れるという「神業」みたいなことは絶対にできないと思っていたが、けん引免許を取る際に言われた「長い方が簡単なんだよ」というのを思い出した。
トレーラーとは若干異なるものの、車長が長い方がバックする際の回転半径が大きく見えない後ろを気にしながらおっかなびっくり入れなければならないが、バスの動き自体は一点を見ていればわかるので確かに操るのは楽なのかもしれない。
その一点とは「後輪」である。大きなバスが弧を描いて回転するので周囲の安全を確保するのは当然としても、後ろはバックカメラで見えるので目視とミラーで周囲は確認可能だ。
そして自分がどの位置にバスを入れたいのかさえ分かっていれば、その延長線上に後輪が乗るようにバックすればよい。乗った瞬間にハンドルを戻してあとはまっすぐに下がれば入っている。
バックでも前進でも、後輪の位置を常に把握しておくと曲がる際に内輪差で後輪が乗り上げてしまうことはないし、バックで目標とずれても修正が容易になる。もしバスの運転体験等のイベントに参加する機会があれば、いつもサイドミラーばかり見ているわけにはいかないが、要所要所で、あるいはバックの際に後輪の位置を見ておけば楽に運転できるかもしれない。



コメント
コメントの使い方