人手不足が深刻化するバス業界で、外国人運転士の育成が動き出している。2019年に創設された在留資格「特定技能」は、2024年から新たに「自動車運送業」など4分野を対象に加え、外国人ドライバー受け入れへの道を開いた。
(記事の内容は、2025年12月現在のものです)
執筆・写真/諸井泉(特記を除く)
取材協力/東京バス株式会社、株式会社アセアン
※2025年12月発売《バスマガジンvol.131》より
■訓練中のフィリピン人運転士も乗務の予定!!
日本経済新聞社によると、2019~2023年の間に介護や建設、製造業などを中心に計34万5150人の外国人材が受け入れられた。政府は2024年以降、新たに「自動車運送業(2万4500人)」「鉄道(3800人)」「林業(1000人)」「木材産業(5000人)」を追加し、総受け入れ数を約82万人に拡大する計画だ。
特定技能の「自動車運送業」分野では、外国人をトラック運転士やタクシー・バス運転士として受け入れることができる。主なポイントは下のカコミの通り。
この動きを受け、2025年に入って日本のバス会社が特定技能制度を活用し、外国人運転士の受け入れを本格化している。
受け入れ事例、企業としては、東京バスがフィリピン人運転士候補生を9人受け入れ、来日直後に普通自動車外免切替後、合宿運転免許教習所にて大型二種免許を取得、社内研修終了後にデビューさせる予定である。
ニッコー観光バス(東京都)では、インドネシア人運転士が特定技能試験に合格し、全国初の外国人バス運転士として勤務を開始した。
日本バス協会では、受け入れ日本語要件の緩和(N3→N4)や支援制度拡充を政府に要望し、バス業界全体で受け入れ促進中である。また、2024年3月より特定技能1号資格でバス運転士が働けるようになり、今後5年間で最大2万4500人のバス・タクシー・トラック運転士の受け入れ計画が示されたことにもよる。
■沖縄・ジャングリアエクスプレスの運転士に
2025年秋に9名のフィリピン人運転士をデビューさせる東京バスでは、東京都台東区の登録支援機関「株式会社アセアン」(代表取締役 高田学)に委託し、フィリピン・マニラ郊外の教育機関「PNTC(PHIL-NIPPON TECHNICAL COLLEGE)」や送り出し機関「INFOTECH」と連携。
現地での教育・訓練を開始し、現地で「特定技能試験(自動車運送業分野:バス運転士)」合格を目指す20日間・160時間のプログラムを実施した。
2025年2月16日に受験した19人全員が合格し、そのうち9人が7月に来日した。来日した運転士はいずれも日本での就労経験があり、日本語も堪能でレベルも高く、日本での再就労への強い意欲を示しているという。
慢性的な人手不足と低い定着率に悩まされてきたバス業界だが、今回の取り組みは人材確保に加え、長期定着への道筋を示す試みといえそうだ。
沖縄県ではテーマパーク「ジャングリア沖縄」が2025年7月25日に開園したが、「ジャングリア沖縄」への送迎バスとして「ジャングリアエクスプレス」という公式シャトルバスが開園に合わせて運行を開始した。
このバスは、その一部を東京バス沖縄営業所が担当しており、那覇空港や国際通り入口からジャングリア沖縄まで直行、毎日2往復運行している。このジャングリアエクスプレスの運転には、今回訓練中のフィリピン人運転士も今後何人かが乗務する予定という。
このように沖縄県をはじめ全国では観光地の送迎バスのように観光2次交通の需要が拡大しているが、今後もバスの運転は外国人運転士が担う機会が増えるものと思われる。外国人運転士は日本のバスの運転風景を変えていくことだろう。


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