バスの製造や輸入販売を行い、いっぽうでオノエン観光というバス事業者の顔も持つオノエンジニアリング。映画などに登場するステージカーも手がければ、バスメンテナンスやカスタムも業務メニューのひとつだ。
これまで、このバス業界の新勢力を取材する中で、登場しなかったものがある。今回はついにそれをキャッチした。オノエン・チューンの日野・ブルーリボン。そう、満を持しての路線バスだ!!
文:近田茂/写真:石川智
取材協力:オノエンジニアリング
【訂正】2→4灯化への改造をしたことがあるというオノエンジニアリングのエピソードを、著者が勘違いした記述があったため訂正いたしました。
路線バスが第二の人生を歩むための重要な業務
バスに詳しく無い人なら、たぶん新車だと思うことだろう。今回の試乗車は日野ブルーリボンII。11m級・78人乗り路線バスだが、実は10年前の中古車だ。
フロントマスクを見ると角目4灯のヘッドライトが採用されていて、一瞬いすゞ・エルガかと思えたが、車検書類を確認すると日野車だった。もっともジェイバス製なので基本は同じ。
アンダーミラーや案内表示の追加など、新車出荷時とは細部が少し異なる。
今回は10年の稼働を終え、放出流通したバスを次の事業社が買い取り、それを整備する業務。フルメンテナンス及び、改造のすべてを一手に手がけるオノエンジニアリングの移籍事業を取材した。
新車導入と共に、古くなったバスを順次手放すのは大手運送事業社にとってはごく当たり前の事だが、別の見方をするとまだ十分に使えるバスの有効活用がイマイチともいえる。
キチンとメンテナンス、あるいはオーバーホールをすることで、実際の使い勝手は新車同様の機能をキープできるのも事実なのだ。内外の化粧直しも施された車両は、冒頭に記した通り新車に見間違う仕上がりだった。
車体メンテ&補修から運行機器装着まで全て自社内で対応
運転席に着座してコクピットを眺めると、触れる頻度の多い部位に色あせた部分も目に入ったが、各操作系の手応えは新車と変わらずしっかりした物だった。
OHC直6の7790ccインタークーラーターボ・ディーゼルエンジンを始動し市街地で試乗したが、足元の3ペダルとFFシフト6MTの操作感もかつて新車試乗した記憶と何ら変わらない。
オノエンジニアリングではすでに、観光バスや改造ボンネットバスの製作やメンテナンスを事業展開してきたが、今回のような一般路線バスにも拡大。依頼主(バス事業社)にとっても経費削減効果の大きいことが理解されだしたようだ。
仮に目に見える排煙があったとして、手のかかるオーバーホールが必要な状態でも直して使えば新車導入よりは安く済むという。今回は新しい料金箱やLED方向幕の設置を除いてほぼ完成した状況。エンジンマウントの一新を始め、各操作系は快適な物に仕上がっていた。
エンジン、ミッション、サスペンションなどのオーバーホールはもちろん、車体の板金塗装までもできる上、アフターの保証も万全。顧客の希望に細かく直接対応できる点も強みだ。