バスの世界でも全国各地でEVがデビューし、稼動している。燃料電池バス、国産・輸入の充電式と、その布陣は着実に拡大中だ。そんな中バスマガジンが当初から追いかけている、“バスづくりの新勢力企業”のひとつ、オノエンジニアリングの1台を紹介する。
それは本誌vol.100でそのデビュー試乗記を掲載した、オノエンスターEV 7.0。コミュニティユースに適したEVだが、その走りっぷりには驚愕の性能を見せた。それから1年、各種装備に見直しや追加が施され、2021年モデルとしてブラッシュアップされた オノエンスターEV 7.0 がほぼ完成系の状態で登場、すでに事業者での実稼動も開始している。
文/近田茂 取材協力/オノエンジニアリング
【画像ギャラリー】走りの良さ、スムーズさはもちろん秀逸。利用者目線の装備が満載
EVバスがみるみるブラッシュアップされて魅力アップ!!
数多くの情報提供に事欠かない「オノエンスター」。これまではお馴染みのオノエンジニアリングが国内導入を担ってきたが、2021年3月からは新たに発足した株式会社アジアスターモーターコーチ(通称:アジアスタージャパン)が同ブランドの日本総代理店として販売とサービスを担当する。
今後の展開に備え、さらなる顧客サービス向上と販売力拡充を目指して立ち上げられたわけだが、記念すべき第1号を飾る新製品が今回取材したオノエンスターEV7.0の2021年モデルだ。
同車は1年ほど前に初輸入されて以降、主に国内のコミュニティーバス需要に応える逸材として注目されている。
日野ポンチョのロングボディ車に相当する車体サイズは、幅がそれよりも120㎜ワイドでゆとりのある室内環境を提供している点と、観光バスと同タイプの優美なフロントマスクを備えているのが印象深い。今回は客席12+3座席+運転席、そして立ち席13名をプラスした29人乗り仕様で導入された。
先に簡単にその特徴を紹介しておくと、日本向けオリジナルサイズの全長7.0mで専用生産された車体に、スライド式の大きな2枚ドアを持ち、前扉フロア下には簡単に引き出せるスロープ板も組み込まれている。
車内のフラットスペースも広く、折り畳み式横向き3座の優先席も余裕があり、巻き取り式固定具も含め、車椅子利用の乗客にも優しい設計がなされている。バッテリーは車体後部に積まれているのでリヤウインドーは無いが、実に合理的でスッキリと快適な室内スペースが構築されている。
搭載バッテリーはリチウムイオンで定格電圧は550.6V。容量は173Ahで170kWのモーターを駆動し、自走搬送時も考慮して最高速度は時速80㎞に設定。航続距離は渋滞した都内市街地の実用走行データで200㎞をマーク。一般的な路線運行は十分に賄うことが可能であることも実証済みだ。
キーONするとコントローラーへの通電音か地下鉄でも耳慣れた音が聴こえてくるが、至って静かな走行騒音も魅力的。もちろん運転は2ペダル。運転席パネルにあるDボタンを押せば、あとはアクセルとブレーキ操作のみ。ドライバーにとっても楽に運行できるメリットは大きい。