臨時運転士として訓練を続けるバスマガジン記者の奮闘記は営業教習3日目に入った。2日目で教官ストップが発動され、途中リタイヤした運転士は3日目の仕業を確認するところからスタートする。3日目の乗務、本稿は3日目の後編にあたる。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■回送車にカメラをセットする!
11時30分に田町駅から目的地に到着して65分の休憩がある。営業所が近くなので回送して昼食休憩をとる。その際に手持ちの記者の七つ道具であるカメラを運転席後ろにセットして回送時に運転席だけが映るようにした。
記者が運転する際に「右!」と怒られたタイミングに何をしているのか、どこを見ているのかを確認するためと、実際に教官が運転しているときにどのタイミングで見ているのかを知りたいからだ。
いわば記者用が復習するための運転席だけに注目した回送時限定ドラレコなのだが、後で映像を確認してみると記者の確認のタイミングが明らかに早すぎだった。つまり一般的な車線変更をするために周囲の確認はしているが、オーバーハングを意識しての曲がる方と反対側の後方の確認まではしていなかったということが判明した。
後で教官に無断で録画して確認したことを伝えて謝罪すると「感心、感心!」と逆に褒められたのが印象的だった。こういうところで鬼教官の安全に対する確固たる思いを垣間見たような気がした。
■15往復の仕業!
この日の担当仕業はラッシュ時の連続往復を除くとそこそこ休憩時間はあるが、全部で15往復するダイヤである。次のダイヤ改正の参考にするためなのかどうかは分からないが、この路線では乗客数をカウントすることが求められ、その都度所定の用紙に記入して行かなければならない面倒はあるものの、路線は単調なのでそれほどまごつく場面はなかった。
乗車した旅客は必ず全員が次の終点で下車するので降車ボタンは必要ないし、それぞれシチュエーションの異なる多くのバス停に付ける必要もない。運転士によっては単調過ぎて…という声もあったが、記者は嫌いではない路線だ。
■休憩時間は?
お昼の大きな休憩時間は営業所に戻り過ごすが、小さな時間調整程度の休憩時間は待機場所にバスを停車させて休憩する。
萱沼教官が、指定の停車位置とビルとの位置関係について説明してくれた。企業ビルの敷地内に乗り入れる場合は歩道を渡るので細心の注意が必要であり、また私有地の指定の場所に停めなければならないので、バックで乗降位置につけなおす必要もある。そのために停車位置は重要であり、その意味を含めて教えてくれた。
■せめぎ合うのはやはり…
港区内で完結する路線なので、どこにでも走っているのがやはりタクシーである。元タクシー運転手に聞いたところ、港区はタクシー利用が圧倒的に多い地域であり、それは23区内でダントツなのだそうだ。
よって駅周辺や経路上の幹線道路上はタクシーとのせめぎ合いとなる。別に競争しているわけではないし、何かを取り合っているわけではないが、前後左右にタクシーがいると「突然」の運転操作をする可能性が非常に高いのでできれば避けながら運転する。
それでもタクシーにとってバス停前後は格好の客待ちスポットでもあるので、こちらは2点間輸送で途中のバス停には停車しないが、お客さんを拾ったタクシーがいきなり4車線の道路をUターンし始めるなどのバスからすれば、ブレーキを踏まなくてはならない「勘弁してほしい」運転が多いため、タクシーには特に注意を要する。
コメント
コメントの使い方