【バス運転士日誌】営業教習2日目は新宿でボロボロに? バス運転士の難しさを痛感する!

【バス運転士日誌】営業教習2日目は新宿でボロボロに? バス運転士の難しさを痛感する!

 空車教習を終え、いよいよ営業教習に入った記者は1日目を何とか消化して3日連続の出勤の2日目だ。記者は臨時運転士(バイト)なので、自分の好きな日程で出勤できる。もちろん予定は伝えておかないと仕業を組めないので、あらかじめ出勤予定は提出しているが、この日は営業教習で3日連続出勤の第2日目である。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■また新宿!

この路線は同じ新宿でも特定輸送扱い!
この路線は同じ新宿でも特定輸送扱い!

 全日の新宿でのシャトルバス運転をこなして到着点呼の際に翌日の仕業を確認する。どうやらまた新宿のようだ。ただし1日目とは異なる途中で乗降箇所が3か所ある若干敷居の高い路線である。

 2日目はもっと早い6時50分出庫で20時45分入庫になっていた。ということは6時過ぎには着いておいた方が良さそうなので、帰宅してさっさと寝た。拘束時間はおよそ13時間ではあるものの、フジエクスプレスの路線組の賃金形態はハンドル時間制ではなく拘束時間制なので、ここから1時間の休憩時間が差し引かれて概ね12時間分の時給が発生することになる。

 もちろん休憩時間はダイヤの区切りごとにもっと多くあるし待機時間もあるが、それも含めて時給にカウントされる。あくまでも1時間だけが昼食休憩時間として差し引かれるわけだ。

■萱沼教官はうるさい?

萱沼指導運転士は人間味あふれる厳しくも優しい教官だった!
萱沼指導運転士は人間味あふれる厳しくも優しい教官だった!

 2日目の担当教官も鬼教官の萱沼指導運転士だ。自分でも「オレ、うるさいでしょ?」と自称なのだが、確かにうるさいし細かいが、運転士としてあるいは運行管理者として多くの危険な状況や事故を見てきた経験から、うるさいのは事故を起こさせないためという気迫は伝わってきていたので、うるさいけど理由があってのことと受け止めていて、であれば全部盗む気でいたのでまったく気にならない。

 この日の新宿でのシャトル便は同じく企業契約による輸送だが、貸切扱いではなく特定輸送扱いの路線なので運賃箱がないのは同様だが、運行指示書はなくスタフのみが出発点呼の際に手交された。出庫して一路、新宿に回送する。

■まずは教官の運転で実車スタート

早朝の車庫にはぎっちりとバスが詰まっている!
早朝の車庫にはぎっちりとバスが詰まっている!

 新宿まで回送を担当した記者は新宿で交代して前日と同様にラッシュ時は教官が担当する。車掌業務なので、安全確認の補助はするが、主に教官が見ている目線の先を追うことに専念した。

 どこをどのように、どのタイミングで見ているかが知りたかったのだ。バスは乗用車と違い、見るべき所がたくさんあるにもかかわらず、見えるところは少ない。そこでミラーやモニターを活用するわけだが、同時に多くのモノを見ることはできないので、見るタイミングが重要だと感じたのだ。

■8周ターンに挑む!

8周ターン部分をスタフをもとに記者が時刻表形式にしたもの
8周ターン部分をスタフをもとに記者が時刻表形式にしたもの

 ラッシュ時間が終わりいよいよ記者が担当する番になった。新宿を出て3か所の乗降場所に停車して新宿に戻る循環路線だ。1周約20分を連続で8周するターンを記者が担当した。

 教官は黙っていわゆるヲタ席に座って見ている。細かいことはあれども概ね運転自体には問題はないようで、時折声を掛けられる程度で主に左巻き込みの確認をしてくれている。

■遅れ始める!

8周するダイヤ部分を記者がダイヤグラムにしたもの
8周するダイヤ部分を記者がダイヤグラムにしたもの

 1周約20分の路線だが、ラッシュは終わったとはいえ概ね10分ヘッドで複数台が走っている。各乗降場所でスタフを確認しながらドア扱いをして発車していたのだが、そもそも記者の運転で早着するはずはなくまた慣れないので同時に複数のことをこなすことがまだできていない。

 そのため、これらの動作が引き金となり徐々に遅れ始めた。バスに遅れは付きものだが、さすがに10分遅延したところで萱沼教官から「先生ストップ」がかかり運転を交代した。10分遅延すると後続のバスに追い付かれてしまうからだ。

 特に回復運転をしているわけではなかったが、記者が作ってしまった10分の遅延は残りのターンで7分遅れまでしか回復できず、そのまま休憩時間に入ってしまった。都合よく解釈すると休憩時間が7分短くなっただけで、遅延ダイヤからは離脱したことになる。

次ページは : ■今度はダイヤを気にし過ぎて…

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