出光興産、名鉄バス、名鉄エリアパートナーズの3社は、軽油代替としてCO2削減率が80%以上、軽油の燃焼に伴うCO2削減率が100%であるバイオ燃料「出光リニューアブルディーゼル」を使用した公道運行の実証を開始した。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
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■実証実施の背景と目的
2025年4月1日から、名鉄バス津島営業所が運行する近距離高速バスに「IRD」を使用し、営業運行されている。2025年4月1日より開始した本実証では、出光興産が名鉄エリアパートナーズを通じて名鉄バス津島営業所にIRDを供給し、名鉄バスがIRDを使用した三菱ふそう製の大型観光バス「エアロエース」1台で運行している。
三菱ふそうは「エアロエース」に新品の6S10エンジン(総排気量7.7L)を提供することで本実証実験に参画する。本実証を通じて三菱ふそうを含めた4社はIRDがバスの走行やエンジンに与える影響を確認し、大型車両における次世代燃料の利用・普及の可能性を検証する。
2025 年6月27日までにエアロエースに新品6S10エンジンの載せ替え作業を完了し、6月28日より新品の6S10エンジンを搭載したバスが運行を開始しました。
■「IRD」とは?
「IRD」とは、出光興産が2024年12月に販売を開始したリニューアブルディーゼル。リニューアブルディーゼルは廃食油や植物油等の油脂系原料に水素化処理(油脂系原料を水素と接触させて不純物を除去する処理)などをして製造する軽油の代替燃料。
軽油代替としてライフサイクルアセスメント(原料の調達から製造、流通、使用における一連のCO2排出量を評価・算定すること)上のCO2削減率が80%以上、軽油の燃焼に伴うCO2削減率は100%である。
■実際の運行状況
本実証を担当する運行営業所は、名鉄バス津島営業所(愛知県津島市大坪町)で、運行台数は近距離高速バス1台(運転士を含む定員66名)。
運行期間は2026年3月31日(火)まで。運行系統は名古屋・長島線(名鉄バスセンター~長島温泉)の上下線(片道36km)1日最大4往復で実施。本実証での推定CO2削減量は年間約69トン。
■今後の課題
CO2削減は世界的な目標かつ課題であり、内燃機関を利用して走るバスでの普及は削減効果が大きい。バス事業者は毎日、軽油を燃料としてバスに給油しているが、昨今の物価高騰で燃料費が占める運行経費の割合が高くなっている。
今後の課題としては、このような環境にやさしい燃料が安価に確保でき、内燃機関への影響が経由と比較して小であり、かつエンジンがたたき出すパワーが減少しないことが普及の条件となることだろう。
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