出光興産と名鉄バス、名鉄エリアパートナーズの3社は、軽油代替としてライフサイクルアセスメント上のCO2削減率が80%以上、軽油の燃焼に伴うCO2削減率が100%であるバイオ燃料「出光リニューアブルディーゼル」を使用した、公道運行の実証を開始する。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
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■実証の目的と効果
本実証では、2025年4月1日(火)から、名鉄バス津島営業所が運行する近距離高速バスに「IRD」を使用し、営業運行をする。旅客バスにおけるリニューアブルディーゼルの公道での使用は東海地区初で、本実証を通じて3社は環境にやさしい交通の実現・拡大を目指すとしている。
「IRD」は、出光興産が2024年12月に販売を開始したリニューアブルディーゼルだ。リニューアブルディーゼルは廃食油や植物油等の油脂系原料に水素化処理などをして製造する軽油の代替燃料である。燃焼時にはCO2を排出するが、原料の植物が成長過程でCO2を吸収するため、軽油対比でのCO2排出量は実質ゼロと見なされるカーボンニュートラルな燃料である。
出光興産は、欧州EN規格に適合したリニューアブルディーゼルを海外から調達し、独自の規格で品質を担保した商品「IRD」として、建設現場における機械向けなど公道以外での使用に限定して供給してきた。本実証では、出光興産が名鉄エリアパートナーズを通じて名鉄バス津島営業所に「IRD」を供給し、名鉄バスが「IRD」を使用した路線バス1台を運行する流れ。
本実証を通じて3社は、「IRD」を使用したバスが支障なく運行できることを確認するとともに、燃料の調達から供給、運用、メンテナンスまでのプロセスを総合的に検証する。
■運行概要と各社の取り組み
運行する営業所は、名鉄バス津島営業所で、運行台数は近距離高速バス1台(運転士を含む定員66名)、運行時期は2025年4月1日(火)~2026年3月31日(火)の予定だ。運行系統は名古屋・長島線(名鉄バスセンター~長島温泉)の予定で1日最大4往復を運行する。CO2削減量は推定で年間約69トンを見込む。
出光興産は、多様で地球環境にやさしいエネルギーの安定供給に向けた取り組みを進めている。「IRD」の普及を推進するため、安定調達や品質の担保に加えて出光グループの特約販売店ネットワークを生かしてラストワンマイル(使用する現場を含む最後の区間)までの供給網の構築に取り組む。「IRD」の公道での使用は全国初であり、本実証を通じて公道における「IRD」使用の課題を整理するとともに、今後はあらゆる用途での軽油燃焼におけるCO2削減ニーズにこたえたい考え。
一方で、名鉄バスは、カーボンニュートラルへ向けた取り組みとして、ハイブリッドバスや電気バス・燃料電池バスの導入をすすめている。さらなる試みとして、今回「IRD」をラインナップに加え、脱炭素社会実現に向けた取り組みを強化し、地域社会の持続的な発展に貢献することを目指す。
名鉄エリアパートナーズは、名鉄グループにおける様々なCO2排出削減商品の提案と低炭素型燃料の供給を行っている。今後も使用済み食用油の再生・循環等によるエネルギーの地産地消を推進する。
出光興産、名鉄バス、名鉄エリアパートナーズの3社は、持続可能なエネルギーの普及とCO2排出量の削減に向けて、引き続き連携を強化し、社会全体の環境負荷低減への貢献を目指したい考えだ。
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