臨時運転士として訓練を続けるバスマガジン記者の奮闘記は営業教習3日目に入った。2日目で教官ストップが発動され、途中リタイヤした運転士は3日目の仕業を確認するところからスタートする。3日目の乗務をレポートする。本稿はその前編である。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■3日目は企業送迎仕業
2日目の夜に一足早く営業所に戻った記者は、運行管理者から様々なアドバイスをもらい3日目の仕業を確認して帰ることになった。翌日の仕業は港区内の企業送迎で2点間輸送である、
出庫は7時30分、帰庫は20時という仕業になっていた。よって初心者の記者は7時前には着いて始業前に済ませることは済ませておきたい。ちなみに会社指定の出勤時刻は7時10分である。慣れれば20分で点検と点呼を済ませて出庫できるのだ。
2点間輸送は1日目で経験済みだが、新宿では完全な循環経路になっているが、3日目の港区は経路は若干異なるものの駅とビルとの往復経路だということだ。
■また貸切扱いだ!
3日目の朝に出勤した記者は、貸切登録した車両のキーを受け取り3日連続でお世話になる萱沼指導運転士の指示で車両点検を済ませる。この路線もダイヤはあるが、企業との契約による貸切扱いなので運行指示書も手交される。
運行指示書に基づいたスタフを運転席にセットして出庫準備は完了だ。出発点呼を受けて営業所からほど近いJR田町駅に回送する。田町駅は芝浦方面の企業に通勤する人でいっぱいだ。駅前の交差点は車歩分離になっており、さながら渋谷のスクランブル交差点ミニ版である。
■田町駅で譲り合いの精神!
田町駅では各企業やビルに向かう企業送迎バスが多く発着する。運行会社はそれぞれ異なるが、フジエクスプレスの専用車両にはスタフの上部に田町駅での他社発車予定時刻の一覧が貼り付けられている。
2車線道路に各社の送迎バスが発着するので、停車位置の並びにより同発や1分違いのダイヤを確認しながら、田町駅に着く前の路上で前後を譲り合って駅周辺で混雑を発生させないように、またスムーズに着発できるようにお互いが意識しながらバスを付けている。
■ラッシュを萱沼教官が担当!
この路線は珍しく車内放送がある。よって田町駅を発車の際には自動放送装置を操作して所定の放送を流さなければならない。発車したバスは途中の停車はなく次が終点となるのだが、所要時間は10分でラッシュ時は連続して数往復するために、仮に遅延すると遅れを吸収できる乗降場所はない。
回復運転はしないものの、所要10分では回復する距離すらない。よってラッシュ時間は例によって萱沼教官が運転を担当して記者は車掌として乗客の出迎えと見送り、安全確認の補助をしながら運転の技術を盗み見することに徹した。
■右! 右! と連呼される
細かい休憩時間はあるので、そのすきに記者が交代して運転を担当する。さて、バスが左折する際に最も気を付けるのは左巻き込みの確認である。ミラーもモニターも活用して確認をするのだが、交差点店前で左に寄る際に自転車や二輪車が入ってこないかも当然確認しながら交差点に至る。
当たり前だが、右や前方やサイドミラーで見える範囲の後方等の周囲も見ながらの左折ではあるが、その際に萱沼教官から「右!」と声がかかる。これは右折時には逆の「左!」と注意を受ける。
この意味は理解している。つまり左折時にはバス後方が右にはみ出るオーバーハングが存在するので、車線ギリギリの大型車が直進してくる場合は注意しないと当たってしまう可能性があるということなのだ。それは理解しているので左折時に右後方も確認はしている。右折時は逆である。
ところが萱沼教官はしつこく「右!」と言ってくる。これはもしかして教官の確認するべきと考えるタイミングと記者が確認していると認識しているタイミングが異なるのが原因ではないかと考えた。
このタイミングのずれなのか、はたまた教官の勘違いなのか、それは解明しないが旅客を乗せた状態の運転中に聞くわけにもいかず、かといって停車中では実際に右左折しているわけではないので、本当のタイミングは分からない。おそらく微妙なものなのだろう。後編ではどのように解決したのかをお伝えする。
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