細かなニーズにいちいち対応。洗練度を増して装備も充実!!
さて、「基本は昨年モデルと同じです」と事前レクチャーを受けての試乗だったが、ひと目見た時からどこか違った印象を覚えた。細かいところまで行き届いた綺麗な処理の数々に目がとまったからだ。
前モデルの記憶を呼び覚ますと、細部の造りや仕上げに粗雑な部分が目についたはずだが、新型は明らかに洗練されていた。聞けば本国工場では、日本に輸出される製品であることが注意書きとして明示された上で、生産ラインを流れて来るという。
クルマに限った話ではないが、世界的に見ても日本は品質面に特別厳しい目を持つ特殊な市場であることが、しっかりと認識されてきており、生産を担うスタッフも丁寧な作業に取り組む姿勢が顕著になって来たらしい。室内に乗り込んで感じられた好印象もそうした仕上げの良さからもたらされた。
各種装備面も実に充実。たとえば固めのクッションながら、座り心地の良いオシャレなクロスデザインのシートは全て独立タイプ。しかも座面下にはUSBソケットを標準装備。乗車時にスマホの充電が賄えるとはとてもありがたい。
車外にいてバス待ちしている時や狭い路地を歩行中は、優しい音色のアラーム音(チャイム)がバスの接近を車外に知らせてくれる。これは時速20㎞以下で走行中は、56デシベルのアラームを車外に鳴らすABALシステムが新搭載されたためだ。
一方、ドライバー目線で運転席に座ると、GRAMMER社製エアーサスペンションシートは、相変わらず座り心地が良い。シートベルトが組み込まれたハイバックタイプのレザーシートで、シートヒーターも装備。プロの職場に相応しい、まさに歓迎すべき要素がここに表現されている。
また通常のバックミラーのほかに、左右前ピラー内側には縦に長い長方形のディスプレイモニターが設備され、車体に取り付けられたモニターカメラ4個分の画像を映し出してくれている。車体周囲の安全確認がしやすくレベルはかなりのアップだ。
ダッシュパネル中央のモニターには、後方はもちろん俯瞰画像のアラウンドビューモニターも装備され、狭い路地や車庫入れなど精密な運転時にも安心感が高められていた。
コロナ禍もあって導入に遅れが生じたが、今年は地方公共団体など、新たな納入先も決定。この新仕様車が順次輸入されるという。今はEV導入には優遇税制の適応もあるだけに、EVバスの普及はジワジワと、確実に広がっているのである。