楽天は自社が運営する配送サービス「Rakuten EXPRESS」において、両備ホールディングス(岡山県)と連携し、同社の子会社である東備バスのバス路線網を活用した貨客混載による配送を2020年3月11日より、岡山県岡山市および瀬戸内市で本格提供開始している。
かつては鉄道などでも貨客混載(客車列車に荷物車を連結させたものなど)はよくあったものの、近年は公共交通での貨物輸送は一部の過疎地域など以外では珍しいもの。
楽天と両備グループの取り組みとはいったいどのようなものだろうか? 詳細に迫ろう。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
既存のバス路線網を活用し効率的な配送サービスの提供を実現
このサービスは「Rakuten EXPRESS」で運ぶ荷物を東備バスが運営する路線バス内に設置された通い箱に入れて、西大寺バスセンター(岡山県岡山市東区)から瀬戸内牛窓営業所(岡山県瀬戸内市)まで輸送、さらに瀬戸内牛窓営業所から各配送先までは、東備バスのバスおよびタクシードライバーが「Rakuten EXPRESS」の専用配送車で配送するというもの。
岡山市は北を中国山地、南を四国山地に挟まれた起伏に富んだ地形が特徴とした土地。総じて敷地が狭小な住宅市街地は面的整備により整然と形成されている区域から、そうでない区域まで様々という地域だ。
また瀬戸内市は南部および東部が瀬戸内海に面し、島嶼が点在してるなど、人口は減少傾向にあり牛窓地域は全体的に傾斜地が存在している。楽天は、このような地域でも、既存の路線バス網を輸送網に変わる運送手段として活用することで、効率的な配送を実現していく。
なお「楽天市場」における包括的な物流・配送サービスを構築する「ワンデリバリー」構想を掲げ、EC物流の健全化に取り組んでおり、この取り組みもその一環という位置づけだ。
※「貨客混載」とは、旅客の運送に付随して旅客の荷物ではない荷物を一緒に運送することを指す。
バス路線網を活用し、貨客混載による配送サービスを実現
【「ワンデリバリー」構想について】
また楽天は、「ワンデリバリー」構想を掲げ、EC店舗向け総合物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」や配送サービス「Rakuten EXPRESS」などの自社物流機能の強化に取り組んでいる。
物流・配送の効率化に取り組み、EC店舗に効率性の高い保管・出荷サービスを提供することで、安定したEC店舗運営に寄与することを実現するというシステムだ。