中国ジェイアールバス株式会社は7月21日の出雲発便より、スウェーデンのSCANIA製ダブルデッカー車(InterCity DD)を出雲・松江~東京線「ス サノオ号」に導入する。2階席は人気のクレイドルシート、1階席はリーズナブルな運賃の4列シートを採用する。その詳細をみていきたい。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
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ダブルデッカーの選択肢は輸入車しかない
日本で高速バスとしても人気のあったダブルデッカー車は、三菱ふそう・エアロキングが多くのファンを生み出したが、高速バスに特化したモデルを最後に生産を終了してしまった。それにより国産のダブルデッカー車は姿を消し、現状では輸入車を導入するしかない。
スカニア社はスウェーデンの商用車メーカーだが、InterCity DDのボデーはベルギーのバンホール社が架装する。日本の事業者も参画して作られた現状では日本市場向けの唯一で最新のダブルデッカー車だ。
スサノオ号の安全装備と車内設備
「ス サノオ号」に導入されるダブルデッカーには衝突被害軽減ブレーキ・ふらつき警報装置・ ドライバーモニター等、最新の安全装置を搭載する。旅客サービスとしてはフリーWi-Fi・USBポート・プライベートカーテン(2階席のみ)を装備し、トイレは1階車両中央部に設置、 車いす1台分のスペースも確保されている。
2階席の3列シートは全席完全独立の「クレイドルシート」だ。 クレイドルとは「ゆりかご」を意味する英語で、 座面がリクライニングと同期して上に傾き、 フットレストも持ち上がるので、 包み込まれるような感覚になるシートである。
新たに4列シートを導入したのも注目だ。従来の出雲・松江~東京線は3列シートのみの運行だったが、 1階席に4列シートを採用した。同区間には航空機のほかに伯備線の特急やくも+新幹線や、夜行列車ではサンライズ出雲が競争相手となるだけに、4列シートの設定で移動の選択肢が広がりそうだ。