移動手段としてのバスはただの乗り物に過ぎない。これは航空機でも船舶でも鉄道でも乗用車でも同じことだ。しかしその「スジ」のマニアにはそうは映っていない。
鉄道マニアと同様に多岐にわたるバスマニアに映る光景の一例を紹介しよう。画像ギャラリーには過去のものを含めて多くのバス写真を掲載しているので合わせてご覧いただきたい。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】ファンが見ているバスの光景とは?バスの写真満載!(29枚)画像ギャラリーマニアは趣味なので人それぞれ
バスファンとはいっても鉄道ファンと同様に、乗りバス、撮りバス、音バス、見バス等々、多岐に分類されるだろうか。
さらには事業者、車両全般、機関(エンジン)、変速機、ブレーキ、サスペンション、シャシー、方向幕(現在はほとんどがLED)、内装、車体、座席から運賃箱、降車ボタン、放送装置と専門分野に特化したファンも存在するので一概には言えないが、記者のような「ライト」なファンにはどのように見えているのかを述べる。
乗車するバスが近づいてきたらバスの「顔」を見てメーカーを判断し、事業者のことがそれなりにわかっている場合は車番や局番を見て同様に判断する。バスは一般的な乗用車のように1つのメーカーが一貫して製造しているわけではない。
エンジンとボディーは別!
エンジンとシャシー(要するにエンジンと骨組みだけ)を製造するのがいわゆる自動車メーカーで、国内では三菱ふそう、日野、いすゞが該当する。以前は日産ディーゼルも製造していたが撤退してしまったので新車として納車されることはもうない。
そして乗用車の車体はもちろん自動車メーカーが製造するが、バスの場合は車体専門のメーカーが存在し架装している。国内では三菱ふそうのシャシーには三菱ふそうバス製造が、日野といすゞにはジェイ・バスがボディーを架装している。
以前はもっと多くの架装メーカーが存在し、シャシーメーカー系列(日野車体)や事業者系(西日本車体)、重工業系(富士重工・川崎重工)等があった。よって同じメーカーのバスでもボディが違うので見た目には全く異なり、ファンの間では一般的にシャシーメーカー+ボディメーカーで呼ぶことが多い。
例えば三菱純正(三菱ふそう・三菱バス製造)とか日野・西工(日野・西日本車体工業)とかである。これは事業者が可能な組み合わせを指定して発注するので独特な組み合わせが存在した。
現在では新車として導入されるバスのほとんどが純正車体のために、さほどの意味を持たなくなってきたものの、現存するバスにはまだ独特な組み合わせの車両が多く存在するし、輸入車ではシャシーメーカーとボディメーカーが異なるのが一般的なのでこの呼び方はしばらく続くだろう。
例えば現在日本で導入が進んでいるダブルデッカー車の新車はほとんどがスカニア製のエンジンにバンホールのボディが架装されたアストロメガやIntercity DDである。同じダブルデッカー車でもすでに製造を終了している三菱ふそうのエアロキングは希少な存在になりつつある。