ロータリーエンジンと言えばマツダのイメージを持つ人は多いだろう。市販車としてロータリーエンジンを実用化したマツダにとって、その存在は企業のアイデンティティでもある。現在ロータリーエンジン搭載車の設定はないが、多くのファンがその復活をまっていることだろう。
そんなマツダのロータリーエンジン、実はバスにも搭載されたことはご存知だろうか? 13Bロータリーエンジンを搭載した「パークウェイロータリー」だが、なぜ燃費で不利なロータリーエンジンをバスに搭載したのだろうか? パークウェイロータリーがデビューした当時のマツダの実情に迫る!!
文:古川智規(バスマガジン編集部)
マツダのバス「パークウェイ」
現在は乗用車の製造販売とOEMで小型トラックを販売しているマツダが、かつてはバスを製造・販売していた。世界唯一の量産型ロータリーエンジンを搭載した、コスモスポーツやRX7など、スポーツカーがメーカーイメージとして強かったメーカーだ。
マツダが製造していたマイクロバス「パークウェイ26(AE)」は、1972年4月にライトバスの後継として登場した。さらに クラフト・ライトバスの後継としてさらに小型のパークウェイ18も販売した。ちなみにこの「26」や「18」というのは乗車定員数のことだ。
トラックのタイタンをベースとして、ガソリンエンジン2000ccのVA型、ディーゼルは2500ccのXA型の2種を用意し、 テールランプはファミリアロータリークーペのものが流用されていた。
1974年7月には、ロータリーエンジン(13B型/120ps)搭載のパークウェイロータリー26が追加設定されたが、いかんせん燃費が悪いことと高回転型なのでバスとは相性が合わず、生産台数はわずか44台にとどまった。
マツダとしては、せっかく実用化したロータリーエンジンを、多彩に活躍させたいという意図もあったための商品化と思われるが、いかんせん小型とはいえ、低回転での太いトルクという出力特性が求められるバスのエンジン。
高回転型といえるロータリーの特性とは真逆であり、ギヤ比の設定はされていたであろうが、ピーキーな回転の走行となっていたことは間違いない。つまりバスには不適格なエンジンだったわけだ。よって、[ロータリーエンジンのバス]は伝説の車種となった。
後年にはマイナーチェンジの上で、ディーゼルエンジンが3000ccのHA型に変更され型式もVA型となった。このころ、マツダのエンブレムもMAZDAから現在のmazdaに変更されている。
当時のカタログ写真を掲載したので画像ギャラリーでご覧いただきたい。