これまで大雪とは無縁のように思われていたような都市部でも、ここ数年の気象変化によって例外ではなくなってきている。プロであるバス事業者はもちろん対策をしているが、それでも季節によるタイヤ交換は時間、手間、経費がかかってしまうネガティブ案件だ。
ここで紹介するTOYO TIRESの新型コミュニティバス専用スタッドレスタイヤは、そんな冬季の悩みを一気に解消するアイテムだ!!
そんなタイヤ開発の最前線に、バスマガジン編集部が「こっそり」と潜入してきたぞ!! スタッドレスタイヤを装着したポンチョのテストなどをレポートする!
取材協力/TOYO TIRE株式会社
取材・執筆/近田 茂
ロケ写真/市川 潔【PR】
■安心快適。新タイヤの登場で降雪時の運行が革新される!!

地域に根ざすコミュニティバスのポンチョが全国に普及拡大しているのはご存知の通り。今回紹介するのは、コミュニティ(小型)バス向けに新開発されたTOYO TIRE製「M937」だ。
コミュニティバス用途に的が絞られた注目の新商品なのだ。そんな「M937」がどういう商品なのかもっと詳しく知るために、開発現場にお邪魔した。

「M937」は主に関東以西の都市部で運行しているコミュニティバスの冬用タイヤ、“通年使用を考えたスタッドレスタイヤ”とのことである。
近年、非降雪エリアでも年に1~2回積雪を伴う“ドカ雪”に見舞われる。バス事業者にとって降雪時運休にできるなら一番安心かもしれないが、足を欠かせない利用客がいる限り、それが許されることではない。
そのため、コミュニティバスをより安全に運行するためにスタッドレスタイヤを装着するバス事業者が増えている。ただ、スタッドレスタイヤを使用するにあたり、色々な課題を抱えているようだ。
夏タイヤと冬タイヤ、2種類併用している場合、年2回のタイヤ交換を繰り返す手間や、取り外したタイヤ/ホイールの保管スペースの確保、タイヤ2種類分のタイヤコストと同時に交換作業の効率を考え、追加でホイール費用も掛かり、事業者のコスト負担は計り知れない。
一方、スタッドレスタイヤで年中過ごすとなるとタイヤの摩耗が激しく、寿命は1年持たないという。もちろん運行状況次第の話だが、コミュニティバスの年間走行距離はおおむね4.5万km前後ではないか。
コミュニティバスでのスタッドレスタイヤの通年使用のニーズとしては、5万km前後の摩耗寿命が求められる。
■1年を通してオールマイティーな性能を発揮する安心感がある
今回のM937は通年使用に耐えるスタッドレスタイヤだ。それもコミュニティバス用に専用開発された初のスタッドレス商品といえる。
根雪が残る極寒地域は通常のスタッドレスタイヤをお薦めするが、通常走行が概ね非積雪状態であるならば、今回のスタッドレスタイヤがお薦めだ。
こうして生まれたのが、今回のM937だ。アイス/スノーの走行性能を、ちょっとだけ摩耗ライフへトレードオフされたM937は既存商品と比べて耐摩耗性能が38%も向上したという。冬季目前にM937を装着し、春夏秋まで1本のタイヤで乗り切る使い方を推奨するわけだ。
新しいタイヤの特徴はトレッドパターンが絶妙なバランスで摩耗と冬性能を兼ね備えたことだ。具体的にはトレッドを2.5%拡幅。荷重負担を分散させて基本的な耐摩耗性能向上と冬性能を確保している。
3本溝構造のメイングルーブを採用し、中央部のブロックを大型化することで倒れ込みを軽減。剛性を高め、発進停止時に生じる縦方向の負担に対する耐偏摩耗性も向上させている。
やや小さなブロックデザインのショルダー部は千鳥配列とし、隣りのブロックと支え合うことによる剛性の強化を確認。旋回時にもシッカリと踏ん張り、横方向の負担に対しても耐偏摩耗性を高めた。
アイスバーン、圧雪、新雪路などあらゆる冬のステージにおける実走実験を見ても、波型のサイプを高密度で入れたことにより、アイス性能にも十分に優れたグリップ力を発揮する性能を見せる。
スタッドレスタイヤながら通年使用できる新型タイヤの誕生で、運行事業者は年2回のタイヤ交換作業から解放されるほか、タイヤを保管、管理するスペースや工数が大幅に削減されることは大きなメリットになるだろう
※性能データの詳細はTOYO TIRE(株)のホームページを参照ください。
TOYO TIRES M937製品ページ