猛暑の便りが聞こえてくる真夏ですが、バス事業者の皆さんはそろそろある作業に入る。それがスタッドレスタイヤの選定とオーダーだ。降雪地域で乗客乗員の命を守るスタッドレスタイヤ。今回は北の大地でテスト走行を重ねたトーヨータイヤの「M939」を紹介しよう!!
文/写真:バスマガジン編集部、取材協力:TOYO TIRES/道北バス
■真夏から始まる真冬の備え
本誌発売時にはまだまだ暑い日々が続いているはずだが、バス業界ではそろそろ冬に向けての支度が始まっていく。その代表的な例がスタッドレスタイヤの準備だ。事業者によってはすべてのバスへのスタッドレスタイヤを用意することもあり、夏の時期から発注をして冬に備えるのが通常のルーティンだ。
今回編集部が訪れたのが道北バス。旭川を拠点に多彩な路線バスルート、緻密に組まれた都市間バス、貸切(定観)需要もこなす事業者だ。車両数143両で道北エリアの交通インフラを担う実力派の事業者だ。「高速流氷もんべつ号」や「特急オホーツク号」、「高速あさひかわ号」などのマスコットネームを聞くとピンとくる人も多いのではないだろうか。
そんな道北バスの旭川営業所を訪問したのが今年2月のこと。本社、整備工場などを含む営業所だがそのスケールの大きさはさすが北海道といったところ。
今回訪れたのはトーヨータイヤの新型スタッドレスタイヤ「M939」の取材のため。北海道でも旭川周辺は氷点下10度を下回るのは日常茶飯事。路面は市街地でも凍結するし、道路事情は非常に厳しい地域だ。
■過酷な環境でも安全に北の大地を走るために
そんななかで安全なバス運行をする道北バスにとってスタッドレスタイヤの性能は、非常に重要なチョイスとなる。
「10月初頭からゴールデンウイークまではスタッドレスタイヤを履いています。旭川ではこのようなスタッドレスタイヤの運用をしないと安全性は確保できません」。
そう語るのは道北バス整備部の佐藤博之課長だ。つまりは1年の半分以上はスタッドレスタイヤで走るということもあり、これは当然ながら路線車も高速車にも当てはまるハナシだ。そこで道北バスが試しているタイヤがトーヨータイヤの「M939」だ。
今回M939を装着するのが都市間高速バス用の2019年式三菱ふそうMS06エアロエースだ。実は発売前から厳冬の旭川の道でこのタイヤはテストされている。M939は冬道での「効き」「持ち」を両立させたタイヤだ。効きの部分については厳しい北海道の氷盤路でもかなりの信頼性を勝ち得ているという。
「車両が最新型なのでドライバーとしてはそこも大きな進化を感じましたが、このタイヤは冬の運行時に大きな味方になってくれました。都市間バスでは圧雪路も多いのですが、ブレーキもカーブも流される感じがなかったですね。お客さまの大きな安心感にも繋がるのでこの性能は嬉しいですよ」とドライバーの松井洋氏は語る。
北海道ならではのシビアコンディションについてもインプレッションをくれた。
「北海道は除雪したての路面が実は怖いんです。除雪されて残った雪が冬季を通じて残り、少しずつアイスバーンになっていきます。こういうシーンではもちろんドライバーの技量や経験値も大きく影響しますが、スタッドレスタイヤの性能がもろに出ます。M939はしっかりした性能を保持しているので安心感は高いですし、当該車両のリターダーとのマッチングも最適でした」。
開発も含めて過酷な環境で登場したM939だが、実走でのテストも高評価を得ているというのは性能の高さを示しているだろう。道北バスではスタッドレスタイヤをホイールから外して組み換え作業をするのだが、作業は外注のタイヤショップではなく、整備部のメカニック17名が組み換えを行っている。スタッドレスタイヤは命を預かる部品だからこそ、自社のバスのすべてを知り尽くす自社のメカニック自らタイヤを組むことを重視しているそうだ。
そんなスタッドレスタイヤを慎重に吟味して選ぶ道北バスの皆さんが納得のトーヨータイヤのM939、ぜひ降雪地域の事業者さんは参考にしてほしい!!
【TOYO TIRE M939】
2023年8月から発売のTOYO TIREの新型スタッドレスタイヤ「M939」。極寒の地でテストを重ねており、その実力は従来品のM929よりレベルアップをしている。偏摩耗抑制を図り、氷雪上性能と摩耗ライフを両立したタイヤだ。
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