路線バスといえば駅から市街地、そして郊外などを細かくネットワークするというイメージを抱きがちだ。長距離を走る高速道路を使わない路線バスということであれば奈良県の大和八木駅と新宮を結ぶ奈良交通の「八木新宮線」がメディアにも取り上げられ有名であるが、今回は三重交通の長距離路線バスに乗車したのでその様子をお届けする。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■深~い歴史がある松阪熊野線
乗車地は三重県松阪市だ。三重県の路線バスといえば「三重交通」だが、長距離路線「松阪熊野線」が存在する。その名の通り松阪市と三重県南部にある熊野市を結ぶ路線で、その距離は約135キロと本州では2番目の長距離を誇る。
以前は「南紀特急バス」という名称で1970年より運行を行っていて松阪~紀伊勝浦を結んでいたが、何度かの経路変更を行った後の2018年10月1日からは「南紀特急バス」から「松阪熊野線」へと生まれ変わった。
特急バス時代は松阪市から尾鷲市の数ヶ所に停車していたのだが、リニューアルで路線上の全停留所に停車することになった。その際に長距離路線バスの1つに仲間入りし話題にもなった。今回は当路線に通して乗車する。
始発地は駅ではなく病院だった……
松阪駅前からバスに乗車し15分ほどで到着したのは、郊外に建つ「JA三重厚生連 松阪中央総合病院」だ。多くの市民が利用する総合病院だが、実はここが「松阪熊野線」の起点である。駅が起点というのが自然のような感じもするが、以前の南紀特急バスの時代から松阪中央病院を発着しており、その流れが今も続いているようだ。
しばらくバス停で待っていると向かい側に停車していたバスが転回して停車した。これが今回乗車するバスである。いすゞのエルガハイブリッドを使用し、車体側面にはハイブリッドの文字とともに「熊野古道ライン」とラッピングされたこの路線専用車だ。車内は通常の都市型路線バスよりも長くロングボディを実感できる。
また座席はハイバックシートを採用しており、各座席にはカップホルダーと網ポケットやコンビニフック、また一部座席にはUSBポートを備えているほか車内ではWi-Fiも利用でき長距離路線バスたる設備が整っている。
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