■そしてラストスパートだ!
熊野古道センターバス停を過ぎると国道42号線は矢の川峠に入る。ここを超えると熊野市であるが、その先の「大又大久保」バス停で一旦停車した。運転手が手元の機械を操作すると運賃表示が一旦リセットされ整理券番号が1番に戻ったあと、すぐ次のバス停への表示と運賃表示に戻った。
これは車内にも掲示されていることだが、このバス停を境にシステムの都合上、整理券を取り降車時に現金で支払いをする場合は問題ないのだが、ICカードで乗車した場合には降車時に運転手へ申し出る必要がある(乗車時に整理券を受け取り降車時に渡してもよい)。
これは長距離を走る路線バスならではのことなのだろう。実際にICカードで乗車する場合はこの手続きが必要で、そのままタッチするとエラーになるので注意が必要だ。
JR熊野市駅を過ぎるといよいよ長かった松阪熊野線も終点が迫ってくる。一面田んぼの風景が広がると「終点 三交南紀」のアナウンスが流れた。やはり終点まで乗車したのは筆者だけだった。
先述の通り乗車地を申し出て処理を行ってもらい、運賃をICカードにて支払った。整理券番号1番の始発・松阪中央病院から終点の三交南紀までは2700円だ。最終の整理券番号はなんと92番だ。
三交南紀バス停は三重交通の南紀営業所で、車庫の入口近くにバスが停車する。車内の点検後にバスは発車したが、すぐ先の車庫で給油していた。明日の第1便は5時30分発なので、その準備が始まるのだろう。この時間では折り返しのバスはないので熊野市駅まで移動し、JRの特急南紀で帰路へと着いた。
■乗りごたえ満点の長距離バス
そんなわけで今回は本州第2位の長距離を誇る三重交通「松阪熊野線」の乗車レポートをお届けした。平日の乗車なので乗車率は少なかろうが、遠方から通院する人は多いのではと考えていた。しかし予想よりも少なくて、やや寂しい感じを受けた。
過去を振り返ると、松阪熊野線は南紀特急バス時代から乗客数で苦戦が続いていたので沿線のバス停に停まるようになり、それぞれの町同士を往来する利用も期待されたようだが、その数もわずかであり現状の1日3往復ではやや物足りなさを感じる。
日常の足として、また長距離路線バスという魅力を生かして何か路線全体を含めたキャンペーンやフリー乗車券等の発売と、利用者増加に繋がる企画に期待したい。
これからは観光シーズンに入るので、熊野古道・丸山千枚田や鬼ヶ城という観光スポットを巡る旅や、近郊では多気町にオープンしたVISONへのアクセスにも便利だ。のんびりとしたバス旅を楽しむのに、ちょっと高級なエルガハイブリッドに乗ってみてはいかがだろうか。
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