大空港への公共アクセス手段といえば「リムジンバス」を思い浮かべる。しかし中には、そんなリムジンの刷り込み効果が全く通用しない場所もあるらしい。
文・写真:中山修一
(福岡空港リムジンバス探しの写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■全国4位の大空港
2024年9月に、日本全国の空港(主に国内線ターミナル)に、「リムジンバス」を名乗る公共交通機関がどれくらい出入りしているのか、何となく調べた話を別記事で紹介した。
その結果、利用者数TOP10に入る大きな空港に絞ると、圧倒的な割合で各所に何らかの乗合リムジンバスが、最低1種類は現れるという結果が出た。内訳は……
羽田(○)、成田(○)、関西(○)、福岡(×)、新千歳(○)、那覇(○)、伊丹(○)、中部(○)、鹿児島(○)、仙台(○)
……であった。しかしここで気になったのが、1カ所だけマークされた×印。2023年度の利用者数およそ2,494万人を記録して、全国第4位の座に輝く福岡空港だ。
■ホントにリムジンはいないのか
×印で合っているかどうか、まずは足掛かりに検索サイトで「福岡空港+リムジンバス」と入力してみると、「福岡空港へ行くリムジンバス云々……」と書かれた商用ポータルサイトの類が上の方に表示される。
ただしポータルサイトの場合は、タダの慣用表現で機械的に記載されているケースが多く、入力した検索ワードに100%合致するものが、実際に存在するか否かは殆ど考慮されていないためカウントしない方が無難。
ポータル系の要素を除外すると、望み通りの検索結果=福岡空港のリムジンバス、が見事なまでに出てこない。と、いうことは、福岡空港にリムジンいない説が濃厚になる。
あとは少しマクロな視点で、同空港を発着するバスをシラミつぶしに確認していく算段であるが、やはりWeb等“資料”の上で知り得た限り、リムジンの要素は見つからなかったので、9月の段階では×印をつける運びとなった。
とはいえ、やっぱり机上の議論だけでは「ホントにいないの?」という疑いが晴れてくれず、軽くでいいので現地の様子を見たくてしょうがなくなった。
軽く見に行くのに片道1,000km、言うのは簡単だけど遠いぜ、チクショウ……そのまま家に閉じこもってても前に進まないし、このさい九州行くしんないだろ。
■空港ターミナルのバス停標識を凝視
何日か経って、福岡空港に来るだけ来た。まずやりたかったのが、バス停標識に書かれている文字情報のチェック。標識のどこかに「リムジン」の文字が書かれてさえいれば×印は覆る。
空港ターミナル1階にある一連の公共交通乗り場を歩いて見て回ると、乗り場番号の下に書かれていたバスの種類は……
(1)連絡バス Shuttle Bus
(2)路線バス Route Bus
(3)高速バス Highway Bus
……基本この3種類。さらに、より本来の空港リムジンの性質を持つ、近隣ホテルへと向かうバスを特定のバス会社が運行している(10月時点ではコロナ運休中)案内が目に止まった。
しかしこちらの名称は「エアポートバス(Airport Bus)」であって、リムジンとは一切言っていない。リムジンバスと記されている標識は、やはり机の上で出した結果と同様に全く見つからなかった。
また、空港リムジン系の中には、タクシーを使用したサービスも一部で営業している。広い意味ではタクシーも公共の乗り物=オムニバスの一種に含まれるということで、福岡空港でも念のためタクシー乗り場を確認してみることにした。すると
(4)普通車タクシー Taxi(Normal)
(5)プレミアムタクシー Taxi(Normal)※原文ママ
(6)大型車タクシー Taxi(Upper)
(7)予約タクシー Reserved Taxi
の4種類に、乗り場標識的には分けられていた。「プレミアムタクシー」というのは、接客サービス内容がハイクラスで原則予約制。時間単位で利用するタクシーのことらしい。
また、大型車タクシーはミニバン専用かな? と思いきや、そこに停まっていたのはレクサスLS600hとセンチュリー。
これは、5ナンバーで長さ4.6m以上の車が中型で、3ナンバーは大型といった、昔ながらのタクシー特有の区分を表しているとみた。
いずれにせよタクシーのほうもリムジンの記載はなく、まず空港の設備面から見るとリムジン率はゼロで決まりだ。
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