民事再生法適用を機に「コトデンバス」から「ことでんバス」へと生まれ変わった平成初期

民事再生法適用を機に「コトデンバス」から「ことでんバス」へと生まれ変わった平成初期

 現在は「ことでんバス」として香川県高松市域の路線バスを運行している。これは2001(平成13)年の民事再生法適用を機に採用された表記だ。それまでは片仮名でコトデンバスと表記されていた(社名としては2005年に変更)。

 同社にとって平成時代は揺籃期とも言え、会社もバスのデザインも、大きく変わった時代であった。今回は旧コトデンバス時代に活躍していた車両たちを紹介しよう。

(記事の内容は、2024年12月現在のものです)
執筆・写真/石鎚 翼
※2024年12月発売《バスマガジンvol.127》『平成初期のバスを振り返る』より

■統合前2社のカラーリングがそのまま引き継がれた平成初期

三菱 B806L 呉羽自動車工業製のいわゆる「タラコくちびる」型ボディを架装したトップドア車で1974年式。貸切車から格下げののち、一般路線で使用された
三菱 B806L 呉羽自動車工業製のいわゆる「タラコくちびる」型ボディを架装したトップドア車で1974年式。貸切車から格下げののち、一般路線で使用された

 コトデンバスは、主に高松市内を運行していた高松バスと、郊外線を中心に運行していた高松琴平電気鉄道の自動車部門が1986(昭和61)年に事業を統合して誕生した事業者である。

 その後の平成不況の中、2001(平成13)年には、高松琴平電鉄の関連会社だったコトデンそごうが経営破綻。これに端を発し、高松琴平電鉄、コトデンバスも相次いで経営破綻に至り、民事再生法の下で再建が進められることとなった。

 コトデンバスは再建の過程で表記を「ことでんバス」に改め、その後これが正式な社名となった。

 平成時代に入った頃は、統合前の高松バス、高松琴平電鉄時代の塗装をそのまま踏襲した車両がまだ多く残されていた。

 両社とも基本のデザインパターンは類似したもので、高松バスは青系、高松琴平電鉄は赤系の塗装を採用し、それぞれ社名を表すTBK、TKRのロゴが大書されていた。

 平成時代に入って、統合後の新たなデザインを採用した新車も導入されたが、旧来の車両の多くは塗り替えられることなく使用され、社名のロゴのみを消したり、広告で隠したり、といった措置が見られた。

 車両は、統合前の両社とも三菱製車両を中心に採用しており、経年車も目立っていた。特に三菱B8系やMR系は当時、主力車種として活躍しており、郊外線・市内線双方で幅広く活躍した。

 ただ、昭和40年代製造の一般路線車であっても冷房が装備されており、かつては先進的な取り組みが行われていたことが伺われ、これも長期にわたって使用された背景だろう。

 なお、高速バスは周辺事業者が共同出資した四国高速バスと瀬戸大橋高速バス(現在は解散)が運行し、直営路線は存在しない。

 また、当時から乗客の減少傾向は顕著で、統合後の新車投入はもっぱら中型車とされ、古参の大型車が置き換えられていった。

 一部の通学系統には、京阪宇治交通や宇野バスから大型の中古バスも導入された。結果、平成中ごろになると、大型一般路線車はラッシュ時の通学系統に残る程度となり、中型バスが中心の陣容に移行し、イメージは大きく変わっていった。

 路線も整理がすすめられ、周辺市町への路線はほぼ廃止され、現在は、(合併によって拡大したが)高松市内にほぼすべての一般路線がおさまる形となっている。

 バス路線の起点となる高松駅・高松築港駅周辺も再整備によって大きく変貌しており、平成初期の様相ははるかな過去のように思い出される。

【画像ギャラリー】昭和後期の最新装備車両を知恵と工夫で長期使用!! 統合前2社のカラーが引き継がれた旧「コトデンバス」の平成初期(10枚)画像ギャラリー

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