世界的に有名な日本の観光地の一つ・栃木県の日光。同地での公共交通機関を使った主な移動手段は路線バスとなっているが、2025年7月現在、どのような車種を中心に展開しているのか。日光駅とその周辺でバスウォッチしてみた。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、日光駅周辺バスウォッチで見かけたバス車両の写真があります)
■日光への玄関口となる2つの日光駅
日光エリアの観光拠点になる、いわゆる日光には2つの鉄道駅が建っている。一つはJR日光線の「日光駅」で、もう一つは東武日光線の「東武日光駅」だ。
両駅の間は240mほど離れていて、JR日光/東武日光駅それぞれ、駅前にバス乗り場が置かれている。JR日光駅発着のバスは大抵が東武日光駅を経由するため、徒歩圏内ながらJR日光駅〜東武日光駅間をバスで移動することもできる。
また、両駅の中間地点あたりに、日光エリアの主要路線網を支える東武バス日光の車庫があり、ここに集まってくるバスを観察するのも楽しい。
■東武バス日光の車を中心に車種チェック
同エリアには何社かのバス事業者の車が出入りしているが、バスウォッチしている間に現れたのは、東武バス日光の車両が中心になった。
中型と大型路線車がいるようで、まずバスウォッチの時間内に見かけた中型路線車は4台ほど。いずれもいすゞ製「エルガミオ」で、2008〜22年頃に製造された、各地に普及している一般的なタイプだ。
これら中型路線車は、日光駅〜日光東照宮をはじめとした世界遺産の社寺へアクセスするための巡回バス「世界遺産めぐり」に使われている。
また、路線バス仕様のハイデッカー車もたまに駅周辺に現れる。当日走行していたハイデッカー車は日野セレガだった。
■国際的観光地は長いのがお好き?
続いては大型路線車に観察対象を移してみよう。大型路線車は、日光エリアの中で駅から遠い観光スポットへの足として運行される路線で使われている。
これらもまた「エルガ顔」と言える、標準仕様ノンステップバスの規格に則った、2010〜20年代製造の今どきの車が揃い、旧車系は既にいないようだ。
車種は日野ブルーリボン、もしくはいすゞエルガのどちらか。ヘッドランプを縦に2個ずつ左右に配置した、エルガ登場当初の顔と、角目2等ライトのブルーリボンII、2025年現在のカタログに掲載されている、吊り目2灯ライトの現行タイプが混ざって活躍していた。
しかしこれら東武バス日光の大型路線車群には、ある共通点が見られる。車体を真横から見ると明らかに車体が長いのだ。
「Q尺」と呼ばれる車体寸法で、ホイールベース5.8mないし6.0m、長さ11mクラスの、現在市販されている日本製大型路線バス車両の中では最大サイズを誇る。
日光といえば観光客の数が極めて多い場所ゆえ、少しでも定員を確保するために尺の長い路線車が選ばれているとみた。
11mクラスの車は各地で使われており、単体で見ればそれほど珍しいものではないかもしれないが、日光のように長いタイプ“ばっかり”な様子を目の当たりにすると、これはこれで新鮮味が強く、車庫などで長尺車が並んでいる光景は壮観だ。
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