北海道のJR函館駅前に、各方面へ向かう路線バスなどが発着しているバスターミナルがある。2025年春〜夏現在、どのようなタイプのバス車両が同地を走っているのか、現地でちょっとバスウォッチしてみ11
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、函館駅前バスウォッチでの現地撮影写真があります)
■函館駅前バスウォッチ2025
函館駅前にあるバスターミナルは、ロータリー内に1〜14番までの乗り場を備えた、規模の大きなバスの発着場で、40以上のバス系統(路線)が出入りしている。
バスを乗り入れている主な事業者に、函館バス、北海道バス、函館帝産バスが挙げられ、なかでも函館バスが大多数を占める。
おそらく限られた時間内で観察する分には、銀色のボディに赤い線の入った、東京都/神奈川県の東急バスとよく似た車体色に塗られた、函館バスの車が中心に来るはずだ。
■函館に旧車はいる?
過去に施行された、ディーゼル車の排ガス規制にかからない地域へ行くと、1990年代に製造された旧車が今も現役で働いている姿を目撃することがある。
函館エリアはどうかと言えば、どうやら1990年代のネオクラシック系は殆ど引退して、極端に古い車が何気なく使われている光景はすでに過去のものへと変わったようだ。
一方、ここ数年〜現行デザインの新しめな車についても、そこまで数が多いわけではなさそうで、訪問日に見たのは2019年式の三菱ふそうエアロスター1台のみだった。
■大型路線車に強い函館駅前
旧車がなく現行タイプも少数とみられる現状、他にどのような車種が函館駅前のバスターミナルにやってくるだろうか。
車両のサイズ的には、全長10.5m・幅2.5m、70〜80人乗りクラスの大型路線車が主力な様子で、たまに全長9m・幅2.3mクラスの中型路線車や、全長12mクラスのハイデッカー高速車が入ってくる。
しばし観察しているうち、2010年まで作られていた、日産ディーゼル製「スペースランナー」の車体に、西日本車体工業(西工)の「96MC」ボディを載せた大型路線車が超頻繁に現れる印象を持った。
96MC車体は左右に2灯1組の角目4灯ライトをバンパーに埋め込んだ、精悍な顔つきが特徴。数は減りつつあるものの、首都圏をはじめ大都市でもまだ使われている。
■どこかで見たような車両ラインナップ
バスウォッチ中に記録が取れた、ナンバープレート違いの車は18台あった。後でこれら18台のプロファイルを軽く掘り下げてみたところ……
【大型路線車】
(1)日産デ スペースランナー+西工96MC:9台
(2)いすゞエルガ:4台
(3)三菱ふそうエアロスター:1台
(4)日野ブルーリボンシティ:1台
【中型路線車】
(1)三菱ふそうエアロミディMK:1台
(2)日野レインボーII:2台
……のようになった。大型は2003〜09年式、中型が2013〜15年式と、車齢20年を超えた車両も一部混ざっている。
短い時間内に現地で確認しただけでも、18台中9台が日産デ+西工96MCという怒涛の割合。超頻繁に現れる印象は間違いなく、どうやらこの車種が現在の多数勢力らしい。
しかしこの車両ラインナップ、はて同じような光景をどこかで見たような……あれは九州・福岡県だ。
西日本車体工業は北九州市にあったコーチビルダーで、まさに福岡県が西工車体の本場と言える。そのため今でも現地へ行くと、西鉄バス在籍車を筆頭に96MCの車をあちこちで見かける。
車両の塗装や街の景観は全然違うにせよ、まさか北海道にいて遠く離れた福岡の名物バス景・96MC攻めを思い起こさせるのも、なにやら奇妙な既視感が滲み出て味わい深い。
コメント
コメントの使い方