高速に乗らない一般路線バスの停留所と停留所の間は、それこそ100m単位のような、ごく短い距離内に収まっているのが普通に思えるが、中には次に停まるのはいつなのか不安に駆られるほど、遠く離れた位置関係の区間があったりする。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、区間距離長めなバス路線とその停留所の写真があります)
■(1)羽田空港第3ターミナル→第2ターミナル
次の停留所までがだいぶ遠い場所に挙げられるのが、まずはおなじみ羽田空港。該当区間を走る主な路線バスに、京急バスの空51系統などがある。
上記のバスで空港へ行く場合、第3ターミナルから入って第2→第1へと進んでいく。ところが同じ羽田空港の施設内ながらも、第3→第2まですぐ着きそうで中々着かないのがポイント。
実は第3→第2まで距離にすると3.7kmほど離れていて、この間に他の停留所はないため、都心部としては異例かもしれない、ごく普通の路線バスで時刻表通りなら7分ノンストップな区間が自然とできあがる。
これは第3と第2ターミナルの間には滑走路が横切っており、この間を跨ぐだけでも1.5kmくらいの距離がある。さらに各ターミナルへのアプローチを足すと、あれよあれよと3.7kmまで伸びていくため。
また、第2→第1ターミナル間も見た目に反して遠く、直線距離なら400mであるが、ぐるっと大回りする道路の構造から、バスでターミナル間移動をすると3kmも走るのだ。
所要時間は5分程度。とはいえ施設が目と鼻の先に見える分だけ、体感時間で言うなら第3→第2ターミナルの移動より長く感じるかも!?
■(2)新千歳空港国内線バス乗り場→美々川福祉園前
次は北海道の新千歳空港に出入りしている路線バスより。ここを走るのは、空港〜苫小牧駅を結ぶ道南バス30系統。
国内線ターミナルを出発して一般道に出ると、これが中々次の停留所に停まる案内放送が流れず、しばらくの間本当に淡々と走り続け、えっこれ次いつ停まるの? と段々不安になってくるほど。
新千歳空港を出て次の停留所は「美々川福祉園前」という所で、この区間の所要時間は9分、距離は何と7kmだ。途中に他の停留所はない模様。
同区間のほとんどが道道130号になるが、沿線の様子を伺うと、レンタカー店と大型駐車場のほか、車窓に広がるのは無人地帯である。
レンタカー店と駐車場では、利用者を対象にした空港までの送迎サービスを独自に行っている所が殆どなようで、当該区間における路線バスの需要の関係から、この空白の7kmができたものと思われる。
■(3)歌別→千平
3例目に紹介するのもまた北海道のバス事情。こちらは襟裳岬周辺を経由して様似〜広尾間およそ80kmを結ぶ、JR北海道バスの日勝線の一部。
同エリア突端にある、えりも町の歌別→千平(ちひら)間がトピックで、土日祝運休・1日朝に片道1本しか通らない超極細区間だ。
歌別→千平の所要時間はダイヤ通りで13分であるが、北海道のローカル路線だけあって距離も素直に伸びて何と11.4km! 鉄道の駅間でも長い方になる離れっぷりに驚かされるばかり。
どうしてそんなに停まらないのか……実は歌別→千平の間には、少し前まで6つほど停留所が置かれていた。
しかし利用低迷により、2025年3月31日をもって該当停留所が廃止になってしまい、結果このように激長な無停車セクションが誕生したわけだ。
【画像ギャラリー】ノンストップセクションの長〜い路線バス(8枚)画像ギャラリー
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