“黄金の道”を走るレジェンドな路線バスが北海道にあるという。ジェイアール北海道バス「日勝線」だ。
文・写真:中山修一
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■日高と十勝で日勝線
北海道の静内〜様似〜えりも〜広尾、合計およそ140kmを結ぶこのバス路線は、日高地方と十勝地方を繋げる役割を持つことから「日勝線」と名付けられた。
その昔、十勝地方の中心都市・帯広から広尾までの間には、鉄道の国鉄広尾線が敷かれていた。広尾駅が終点になっていたが、当初はさらに延伸する計画があった。
広尾から海沿いを南下して、えりもを経由しつつ、様似で国鉄日高本線に接続、苫小牧まで鉄のレールを繋げる、というものだ。
線路を敷くには工事に時間を要する。そのため、鉄道が開通するまでの“つなぎ”として、バスで運行を始めたのが日勝線のルーツとなっている。
ところが、広尾〜様似間の工事は未着手のまま年月が経ち、1987年に広尾線が廃止されてしまうと、日高・十勝地方を鉄路で繋げる夢は潰える結果となった。
2021年には接続相手だった日高本線の鵡川〜様似間も過去帳入り。すっかり「鉄道のあった場所」へと変貌を遂げたが、そんな鉄道への期待を背負って生まれたバスの日勝線は今も頑張っている。
■土休日に御用心
2023年11月現在のジェイアール北海道バス日勝線は、運行区間である静内〜広尾のうち、静内〜様似、様似〜広尾間に分かれ、全区間を利用をする際、通常は様似バス停で乗り換える。
今回注目するのは、様似〜広尾間の約84km。静内〜様似間は、JR日高本線の代替バスとしての役割を持つようになり、現時点ではある程度の本数がキープされている。
一方で、様似から先は利用がそこまでないようで、合わせて本数も少ない。上下9本ずつ便の設定がある中で、様似〜広尾を結ぶ通し便は1日3本だ。
その日のうちに静内方面から来る/行く場合、下りの日勝線始発便には間に合わず、上りの最終便は様似から先の接続がないため、上り・下りとも2回ずつにチャンスが絞られる。
さらに、それが平日限定であるのも重要なポイント。土日祝はダイヤが異なり減便されるため、様似〜広尾を通れるチャンスは実質1日1回だけ、と思っておかないと罠にハマってしまう……。
下りの早朝便を除き、バスは途中えりも岬を経由する。本数の少なさが際立ちつつも、観光利用が考慮されており、通し便より1本早い途中止まりの便を利用して、えりも岬に立ち寄りつつ、様似または広尾まで抜けることもできる。
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