近年は利用低迷や乗務員不足などの諸事情が重なり、路線バスの休止・廃止が各地で目立つようになってきた。乗ってみて「これちょっと良いね」と好印象を持って、そう月日の経たない間にリピートしようと思ったら路線自体が消えていた、なんて憂き目も大して珍しくない瞬間へと変化しつつある中、嗚呼そんな路線がまたひとつ。兵庫県の日本海側を走った、全但バス 竹野線のまだ全然若い思い出。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、全但バス竹野線の思い出写真があります)
■兵庫県バス縦断最後のカード
2025年3月。兵庫県の瀬戸内海側から、県内を出ずに路線バスを乗り継いで日本海側に出られないだろうかと突然思いつき、現地へ行って試してみた顛末を、昨年『バスマガジンWeb』で紹介した。
神姫バス神戸三ノ宮バスターミナルをスタート地点に設定して、JR播但線の新野駅前などを経由しながら、極細ラインを綱渡りで繋ぎつつ豊岡駅に抜け、最後に2通りから選べた日本海側の海岸すぐそばへ行くバスのうち、全但バスが運行する「21系統 竹野線」を選択した。
■全但バス「竹野線」の思い出
竹野線は、豊岡駅を後にすると国道178号と兵庫県道1号を通りながら22kmほど進み、エメラルドグリーンの水面が広がる閑静な砂浜の海岸・竹野浜海水浴場の手前に置かれた、竹野バス停まで向かう一般路線だった。
竹野浜海水浴場へはJR山陰本線でもアクセス可能で、最寄駅は海岸から1.5kmほど離れた竹野駅になる。全但バス竹野線は近年では珍しい、鉄道線と重複する区間を走る競合系バス路線の一面を持っていて、そのユニークなバス像にも興味を誘われた。
さらに、進行方向まっすぐ100m先の突き当たりに白い砂浜、隣には1,000年以上の歴史があると伝わる趣ある神社「鷹野神社」、バスが通るには狭隘さを隠せない、ひっそりとした小道が終点という、竹野バス停の置かれた位置がなんとも情緒的で、バスを降りた後に特大の旅情と満足感が得られる好路線の印象を持った。
■リピート力強めだったのだけれど
豊岡駅前〜竹野間の運賃は800円と、330円のJR線よりもだいぶ高額ながらも、バス像と趣の良さからリピート力の高いバス路線になり、2025年12月頃に「そういえば竹野線どうだったっけ?」と、バス路線情報を開いてみた。
ところが何度やっても竹野線が引っかかってくれない。はてどうしたのか?? あ、これはまさかと思い詳しく調べてみると、恐れていたリリースが見つかってしまった。21系統竹野線 全線休止である。
全但バスの情報を参考にすると、2025年10月1日のダイヤ改正で休止扱いとして、一旦の営業を終えていた。
バス路線の運行取りやめには、数年前から予兆が能動的に広まる鉄道のようなドラマティックな展開はあまりなく、直前に知らされるサドンデスな流れが大多数を占める。しかも今回は既に姿を消した後で気付いたパターンであった。
鉄道やバスは(観光客にとって)良い印象を持った路線ほど消えやすい。そんなジンクスがまた当てはまったか……仕方ないとはいえ、まことに名残惜しい限り。もう一回くらい行っときたかったな〜。






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