最近は大人しめになった? 平成初期vs令和のバスのデザインにまつわるあれこれが意外と深すぎた!?

最近は大人しめになった? 平成初期vs令和のバスのデザインにまつわるあれこれが意外と深すぎた!?

 一般的な乗用車の場合、デザインからシャーシまで一新する、いわゆるフルモデルチェンジは、人気モデルで数年おき、最長でも10年くらいのスパンで行われる。最近では少し延びた印象があるものの、昭和から平成へ掛けての時代は4~5年程度でフルモデルチェンジが行なわれる車が多かった。

文・写真:橋爪智之
構成:中山修一

■外見よりも実用性がキモに?

三菱ふそうエアロスター以前のMP118はモノコックボディで通称ブルドッグと言われていた
三菱ふそうエアロスター以前のMP118はモノコックボディで通称ブルドッグと言われていた

 乗用車は、一般消費者が購入するため、デザインや性能が新しいほど注目を集め、売り上げに繋がる。

 新製品として華々しくデビューを果たしても、その鮮度はたいてい1年くらいのもので、その間に他社から同サイズの新型車が発売されれば、すぐにそちらへ人気が流れることも珍しくはない。

 フルモデルチェンジとは別に、デザインや装備品、選べる色などを追加する「マイナーチェンジ」が2~3年目に行われるのは、失われた鮮度を蘇らせるためだ。

スケルトンボディとなった三菱ふそう初代エアロスターM
スケルトンボディとなった三菱ふそう初代エアロスターM

 逆に営業車は、現場での扱いやすさや耐久性こそが重要で、デザインの優先度はそれより後になる。

 もちろん、デザインが一新されて注目を集めるのは、乗用車と変わらないものの、それよりも重要なのは、どれだけ営業車としての使い勝手が良いか、毎日運転するドライバーが負担なく安全に運行できるかが最重要ポイントとなる。

呉羽自工によって架装されたボディは直線基調のデザインで少し異なった
呉羽自工によって架装されたボディは直線基調のデザインで少し異なった

 乗用車ベースのタクシーですら、クラウンコンフォートやセドリック、クルーといったタクシー仕様に使われる車種(グレード/形式)だけは、自家用仕様がモデルチェンジをした後も、そのまま継続販売されることが多かった。

 性能や耐久性はもちろん、営業用としての適性も重要となってくる要素だ。トラックも、比較的息の長いモデルが多い印象を受ける。

■意外と鈍い? バスのモデルチェンジ

 そこでバスを振り返ってみると。最近はずいぶんと長い間、フルモデルチェンジをしていないのではと感じる。

 いや、動力装置やシャーシなど、大幅な変更をされ、事実上はモデルチェンジが行われていたとしても、あまり気付かないことが多い、というのが正直なところだ。

二代目エアロスターは初代デザインを継承しつつ進化した
二代目エアロスターは初代デザインを継承しつつ進化した

 それは結局、外見デザインが前モデルを踏襲していて、見た目に大きな変化が少ないから、という理由があるのではないだろうか。最近は、特にデザインが変わらないという流れが顕著という印象を受ける。

 例えば三菱ふそうの場合、現行エアロスター(MP38)はベースとなるデザインが1996年の二代目エアロスター(MP317/717)から大きく変わっておらず、30年近く同じイメージの車両を使っている。

都営バスの都市新バス用車両はエアロスター誕生以前でMP118の最末期となり呉羽自工の特装車体となった
都営バスの都市新バス用車両はエアロスター誕生以前でMP118の最末期となり呉羽自工の特装車体となった

 もちろん、細かい仕様の変更は数多あったし、外見で言えば前照灯の形状が一新されたが、初代から二代目、あるいは初代エアロスターとそれ以前の通称ブルドッグを比較すれば、それこそ劇的な変化が見られたわけで、そういう意味で過去10年ほどの変化は明らかに少ない。

 もっとも、感心するのは今見ても決して古臭さを感じさせない点で、それだけ優れたデザインだったとも言える。

■合理化でラインナップ自体が減少傾向に

 いすゞも同じで、1980年代初頭から製造されたいわゆるC系標準車体の川重製ボディからキュービック、そしてエルガへのモデルチェンジは、まったく異なるデザインで一目見て変化を感じられた。

 エルガ以降は初代と2015年登場の現行型(二代目)ではあまりデザインが変わらず、素人目には同じバスと思うかもしれない。

富士重工5Eボディ+日産ディーゼルU32(左)といすゞキュービックLV314(右)
富士重工5Eボディ+日産ディーゼルU32(左)といすゞキュービックLV314(右)

 その間に日本のバス製造会社は大きく再編され、いすゞと日野、三菱と日産デが合流して2社となり、ボディ会社もきれいさっぱり整理され、現在はまったく同じ形の車両がどんどん量産されるだけの時代となってしまった。

 ある意味で言えば、競争が無くなったことで、言い方は良くないが乗用車で見られたようなデザイン小変更といった小手先の対策を講じる必要が無くなったことも、大いに関係しているのかもしれない。

 一方で、以前はシャーシとボディ架装会社が別だった場合、シャーシが変更を受けてもボディはそのまま(あるいはその逆)というケースがあり、モデルチェンジに気付きにくい、言われなければモデルチェンジに気付かない(その逆にモデルチェンジしたと思ったら中身は同じ)ということもあった。

富士重工7Eボディ+日産ディーゼルU33
富士重工7Eボディ+日産ディーゼルU33

 日産デを中心に、各社のボディを架装していた富士重工は、ボディとシャーシのモデルチェンジ時期が合わず、旧車体ながらシャーシだけ新しくなったり、逆にシャーシはそのままでボディだけ新しくなったり、ということがそれぞれのモデルチェンジごとに起きた。

 業界再編という話は、日本のみならず欧州地域でも起き、いくつものメーカーの名前が消えていったが、国の数が多い分、日本と比較すればまだ多くのメーカーがしのぎを削っており、デザインを大幅に一新したフルモデルチェンジが比較的頻繁に行われている。

 国内バスメーカーが、実質的には2社しかない現状を鑑みると、大きな変化は難しいところだが、そろそろ初代エアロスターやキュービックを見たときの「あっ!」という新鮮な驚きを期待したいところだ。

【画像ギャラリー】車体デザインが豊富な平成初期の路線バス車両(7枚)画像ギャラリー

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