「空港バスってちょっと高くね?」「高いっすよね」。とくに若い世代の人はこう考えるかもしれない。かつて日本では飛行機に乗れるのはお金持ちや贅沢をするときという感覚があり、空港バスは高くて当たり前だった。
しかし、現在は航空券5000円なのに、出発した空港と到着した空港のバス代が合計3000円などというのが当たり前。確かにバランスが悪い……。
執筆/写真:谷川一巳(バスマガジンvol.80より/特記を除く)
「東京シャトル」は1000円、同じ区間をリムジンだと3100円
鉄道も空港に出入りする路線は加算運賃とかで高額になるが、基本は距離に応じて決まる。しかし、バスには10キロの運賃、20キロの運賃といったものがなく、相場のようなもので決まり、一般に空港バスは他の路線に比べて高くなる。
東京駅から東京空港交通の成田空港行きは3100円だが、成田空港行きが通るのと同じ東関東自動車道をおよそ倍の距離を銚子まで行く高速バスは2550円だ。銚子行きを運行するのは京成バスと京成系列の千葉交通、東京空港交通も京成系列、すべて同じ系列である。
成田空港行きが3列座席などグレードの高い車両というわけでもない。すると運賃の差は、空港行きか、生活路線かの違いと思うしかない。
現在は同じ京成バス系列が新たに「東京シャトル」を運行、運賃は1000円(深夜便は2000円)、事前予約なら900円となり、連日盛況であり、私も愛用している。
東京空港交通の3100円は、成田空港が国際線のみの運航で、まだまだ海外旅行が一般的ではなかった時代から脱却できないでいる運賃、「東京シャトル」の1000円は、LCC(格安航空会社)が多く飛ぶようになった現代感覚の運賃と納得するしかないのである。
現在は同じ区間にJRバスと平和交通による「THEアクセス成田」も1000円で運行する。「東京シャトル」「THEアクセス成田」はどの便も乗車率が高く、いっぽうで東京空港交通の東京発は数名を乗せて出発する光景を見かけることがあり、「よく続くな」と思うときもある。