今回は都道府県別のバス事業者の方向幕、埼玉県を走るバスの方向幕について解説。
まえに東京都内のバス事業者を紹介した時に入っていなかった事業者があったが、勢力的にこちらの方が大きいと判断したので、今回は埼玉県内と言っても本社は都内にある事業者がほとんどであることをご了承いただきたい。
文/写真:高木純一(バスマガジンvol.89より)
■西武バス・営業所単位でワンマン機器の組み合わせが異なる
西武バスは営業所単位でワンマン機器の組み合わせが異なっており、隣同士の営業所でも細かい仕様が異なってる。方向幕も例にもれずオージ式と羽深式が存在していた。ただ90年代後半になるとオージ式に統一され、羽深式はLED化されるまでには全滅していた。また同じ時期に緑色のインク色が少し明るくなり、系統の緑、ローマ字の青と3色印刷となって綺麗な印象がある。
西武バスの方向幕で面白いのは練馬・上石神井両営業所の側面方向幕で「両面表示幕」というのが一時期存在していたこと。これは1本の幕に表面用と車内用の2面が交互に印刷されており、しかも駅を通る系統だとその駅に走っている電車の挿絵が書いてある点が非常に興味深い。
■東武バスグループ・いすゞ車と日野車で方向幕がまったく異なっていた
ひと昔前は埼玉県内最大規模を誇った東武鉄道バス。現在は分社化や閉所によって勢力はかなり衰えてしまったが、現在でも東武鉄道沿線を中心に路線網を展開している。この東武バス、いすゞと日野しか車種が無いが、方向幕もいすゞと日野でまったく異なっていた。
いすゞ車は三陽電機製作所(S-light=現レシップ)製の表示機を採用し、関東では珍しい光電マーク式(金属製のシールを読み取る)を採用していた。日野車は関東ではおなじみのオージ製。違いは表示機だけではない。系統番号も楕円の上下を切った形と四角囲いとで異なっていたため見た目ですぐわかるようになっていた。
LED表示機になってからは系統番号に違いは無くなったが、営業所単位でどの車種がメインかによってレシップ製とオージ製が使い分けられているのは昔からの伝統。路線の譲受先である朝日自動車や国際十王交通、茨城急行自動車も同じようにレシップ製とオージ製が使い分けされているのは面白い。