今回のバス停散策は西鉄バス北九州の2つの停留所を取り上げる。この2つのバス停は直線距離で1kmくらいだが直接結ぶバス路線はない。あえて歩いてみると不自然な歩道が所々にあり、この歩道が世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に登録されている稼働中施設をつなぐ道であった。そんな道を歩いてみた読み物記事だ。沿線風景の多くは画像ギャラリーに収録した。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】2つのバス停を徒歩連絡してみたら不自然な歩道が!世界遺産を垣間見る明治時代の道を歩く(20枚)画像ギャラリースタートは福岡県中間市
スタートはどちらからでもいいのだが、便数が少ない方からスタートした。ちなみにどちらの停留所も西鉄バス北九州香月営業所の管内で、香月営業所所属のバスが多く来るが、双方の路線は香月営業所でしか接続していない。今回のスタートは「通谷団地口」停留所だ。福岡県中間市に所在する。
最寄りの鉄道駅は筑豊電鉄の通谷電停でバス便は毎時1本程度しかないが、徒歩で来ることも可能。ほかの鉄道駅は筑豊本線の中間駅や筑豊電鉄の筑豊中間電停に接続する筑鉄中間停留所からのバス便もあるが、非常に少ない。
この停留所はかつて「中間高速」と通称され後、正式に「なかま号」と命名された福岡行きの高速バスが停車していた。なかま号は人が乗っていないわけではなかったのだが、おそらく乗務員不足のあおりを受けて早々に廃止された。
高速路線廃止後は救済のため「高速千代ニュータウン」で既存の高速バスに接続する「N番」が運行されていたが、乗り換えの不便さと便数が少なかったのでこれも早々に廃止された。
現状で中間市内から福岡へ行く一般的なルートは、筑豊本線の中間駅から折尾駅を介して鹿児島本線で行くしかない。天神であればさらに地下鉄に乗り継ぐ必要がある。
坂道がひたすら続くが……
バス停から少し通谷電停の方に行くとカーブする上り坂が見える。この坂を登っていくとカーブの出口あたりから、急に広い歩道が設置されている。
道路自体は2車線で坂の途中までは、この道路が中間市と北九州市八幡西区との境界になっている。まさか4車線に拡幅するための用地とは思えない。坂道を登ってくと途中から完全に北九州市になる。
坂のサミットではこの広い歩道が反対側に付き別の道路と合流して、また元の側に歩道が戻る。そして下り坂になると車道とは完全に分離して、歩道だけが急に狭くそして強烈な上り坂に変わる。舗装も怪しくなる。この急な坂道は歩道のみで車道は下を抜けている。