世界遺産の鬼に会いに行く!!  このミッションを果たすには県境越えのあの路線バス一択だ!!

■コイツに乗ったら鬼を見るべし

 バスの終点になっている大又大久保は、やや内陸に入った場所にある小さな集落だ。便数の都合から、終点まで乗り通してしまうと戻るのが若干大変になる。

 では、どこで降りるのが得策か……まず、13系統はJR紀勢本線の特急停車駅になっている熊野市駅前を通るため、そこで降りてしまうのが最も安心確実だ。

 それともう一つ、13系統が“鬼”と深い関係にあるのも注目すべきポイントだ。熊野市駅から2kmほど進んだ先に、鬼ヶ城(おにがじょう)という景勝地がある。

 海岸線に連なる巨大な岩壁が、波に侵食されて徐々に形作られていったもので、自然の力が生み出した究極の美を眺めて楽しめる。

 平安時代(西暦800年前後)に鬼が根城にしていた伝説を持ち、1521年には有馬和泉守忠親が同地の山頂に隠居城を築城。その後は「鬼ヶ城」の名で今日に至る。

 「鬼の見晴台」「鬼の風呂桶」「鬼の洗濯場」など、鬼にまつわるスポットが点在する、隅から隅まで鬼づくしなこの鬼ヶ城は、1935年に国の天然記念物、2004年にはユネスコの世界文化遺産に登録されている。

 13系統の大又大久保行きに乗ると、「鬼ヶ城東口」が最寄り停留所になる。便によっては「鬼ヶ城」行きもあり、その場合は終点まで乗っていけば鬼ヶ城はすぐ目の前だ。所要時間は約54分、鬼ヶ城東口までの運賃は1,050円、鬼ヶ城なら1,080円だ。

 鬼ヶ城は海岸線に沿って岩場を歩いて通り抜けられるよう道が整備されている。バスを降りて鬼ヶ城を堪能しつつ、そのまま徒歩で熊野市駅に戻ってくる、なんて行程も組める。

 ただし、道が整備されていると言っても、これがまた毎日歩いて通ろうものなら腹筋割れるくらいの鬼難度。大きな荷物を持っている際は一考の余地アリかも……。

鬼を冠する鬼ヶ城だけに遊歩道までもが鬼の形相
鬼を冠する鬼ヶ城だけに遊歩道までもが鬼の形相

【バス路線の基本データ】
三重交通 13系統 熊野新宮線 新宮駅前→大又大久保行き
・跨ぐ県:和歌山県→三重県
・移動距離:約40km
・所要時間:1時間17分
・運賃:1,510円
・停留所の総数:67
・和歌山県内の区間距離:約1.7km
・和歌山県内の停留所の数:5

【画像ギャラリー】県境越えて鬼退治…三重交通13系統(8枚)画像ギャラリー

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