世界遺産の鬼に会いに行く!!  このミッションを果たすには県境越えのあの路線バス一択だ!!

世界遺産の鬼に会いに行く!!  このミッションを果たすには県境越えのあの路線バス一択だ!!

 全国に2万5000以上あると言われるバス路線。その中でも、県境を跨いで走る高速バス以外の一般路線バスの数は極端に少ない。そんな県境越えバスの実態はどうなっているのだろう? 今回試すのは“鬼”が深く関わる三重交通13系統!!

文・写真:中山修一
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■和歌山県まで来る三重県の路線バス

JR紀勢本線新宮駅向かいの新宮駅バス乗り場
JR紀勢本線新宮駅向かいの新宮駅バス乗り場

 日本最長距離を走る一般路線バス、奈良交通301・302系統「八木新宮線」の始発/終点でもある和歌山県の新宮駅。

 ここ新宮駅から、県境をまたいで三重県を結ぶ路線バスが出入りしている。三重交通13系統「熊野新宮線」がそれだ。

 新宮駅〜大又大久保間約40kmを1時間17分かけて結ぶ路線で、JR紀勢本線の線路の隣を通る、国道42号線をメインルートに据えて並走する形で進む。

 7時〜19時台まで大体1時間おきにバスが出ている。大又大久保行きは便数が少なく、大又大久保から15kmほど手前で終点になる便が多い。

 経路がほぼ同じであるため、鉄道と競合する路線バスと言えそうだが、新宮発のバス出発時刻はそれほどJR線と丸被りするわけでもない。

■いつも通りの県境越え

 当日は、木曜日の10:15に新宮駅バス乗り場を出発する、大又大久保行きを選んだ。停留所で待っていると、発車時刻4分前にバスがやってきた。バス発着レーンの構造ゆえバックで入線してくる。

この日の三重交通13系統には中型路線車が使われていた
この日の三重交通13系統には中型路線車が使われていた

 平日の10時台は元々人の往来が少ない時間帯ながら、発車時点で他に利用者はいなかった。

 始め車内に誰もいない光景は、県境越え路線バスなら地域を選ばずちょくちょく出会すので、いつも通りと捉えるべきか…。

 新宮の街は三重県との県境に面しており、街のすぐ脇を流れる熊野川両岸のほぼ中間地点に県境が引かれている。

 駅から熊野川に架かる新熊野大橋まで1.7kmくらいしかなく、他県に食い込む距離が短いのもまた県境越えバスでは「いつも通り」だ。

■オーシャンビュー全開!?

 出発して5分程度で新熊野大橋を通り抜け、早々に三重県入りする。三重県に入ってからは利用者の乗降が時々あった。13系統は三重県内の区間利用が主な用途になっているらしい。

 バスはJR紀勢本線脇の国道42号線をひたすら進んでいく。この国道は海岸線に沿っているため、これはひょっとして端から端まで飽きるほどオーシャンビューが拝めるのでは?と、ちょっと期待した。

 しかしそんな淡い期待も、周囲の様子を窺えば無理な相談だとすぐに察せる。線路と道路沿いには民家や畑が続く。そうなると砂や潮風が陸地に吹き込むのを防ぐ海岸林が不可欠だ。

 進行方向右側が海になるが、海の青よりも林の緑を眺めていく割合が多い。ただし、海抜が高めの区間などに差し掛かる僅かなタイミングだけ、車窓一面に水平線をクッキリと描く太平洋が雄大な姿を現してくれる。

車窓から太平洋を望むチャンスは逃せない
車窓から太平洋を望むチャンスは逃せない

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