少し前までの高速バスにはフロントガラスに「路線バス」と書かれたプレート置いてあった。最近はそこまで多くないが、あれはいったい何の意味で貼っていたのだろうか。ないとえらいことになってしまうらしいのだが、そのわけとは?
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■わざわざ置かれた「路線バス」プレート
高速バスは概ねハイデッカーやスーパーハイデッカー、まれにダブルデッカー車が使用される。これは観光バスをはじめとする貸切車でも同様だ。単純に高速路線車なのか貸切車なのかを区別するために「路線バス」プレートが置いてあるのは察しが付く。しかしそれならば「高速バス」でもいいのではないか。
では誰に向かって「路線バス」(高速バス)であることをアピールしているのだろうか。正解は高速料金所の係員だ。高速道路の通行料金は軽自動車等・普通車・中型車・大型車・特大車の5区分だ。高速車はたいてい長さ12mなので、特大車に区分される。
ところが特大車の区分の定義には「バス(乗車定員30人以上のもの、または車両総重量8t以上で車長9m以上のもの(いずれも路線バスを除く)」となっており、路線バスは特大車ではないことになっている。
■路線バスだと大型車区分
これにより同じハイデッカーの12m車でも、高速バスは大型車区分、貸切バスだと特大車区分に入るのだ。料金所の係員が誤って特大車として処理しないように、あのようなプレートを掲げていたということである。しかし最近はETCが搭載され、車両情報が記録されているのであまり意味がなく、すでに廃止した事業者も多い。
例えば西鉄のはかた号は首都高速を経由して東京ICから東名高速道路に入り、門司ICで関門自動車道を出て北九州都市高速道路に入る。東京ー門司間の大型車の通行料金は無割引の場合35320円だ。これが特大車区分だと58910円に跳ね上がる。同じバスで並走していったとしても、貸切だと路線バスではないので特大車区分で通行料金を払う。
■高速車を貸し切った場合は?
様々な事情から高速バスに使用する車両を貸切バスとして使用する例はある。マニアの車両指定だったり、イベントでの試乗会だったりだ。このような運用では当然ながら「路線バス」プレートは外される。料金所係員はいつもの高速バスが来たと思うのだろうが、運転士から「貸切なので特大で!」などと声をかけていた。
ということで、あのプレートは料金所係員に向けて路線バスで大型車扱いあることをアピールするためのものだったのだ。
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