■行って戻るしかない場所
観光で増毛に行こうとするなら、大抵は留萌が拠点になるハズ。その場合、増毛から先へ進んで他の都市へ抜ける交通手段がほとんどないため「行って戻る」が基本だ。
旧増毛駅には、沿岸バスの札幌行き特急「ましけ号」も通るが、朝7時台に1本しかなく、23・24系統の始発は「ましけ号」よりも後のため、どうしても来た道を戻りたくなければ、増毛に1泊する必要が出てくる。
さて、路線バスを使って増毛に行ってみるとして、問題は滞在時間。4分で折り返しのバスが来て、その後3時間バスが来ない……とかではさすがに使い辛い。
その点はある程度考慮されているようで、例えば10:45に留萌駅を出発する便に乗ると、最低でも1時間15分ほどの現地滞在時間が作れる。
バスで行くと留萌駅前→旧増毛駅まで所要時間約34分、運賃は430円だ。2ドアの路線車でも中扉は締め切りで、前乗り・前降り方式が採られている。
鉄道と同じく海沿いの道をよく通る路線であるため、車窓から見える景色はなかなかキレイだ。まだ留萌本線のレールが所々に残っていて、それらを見つけるのも楽しみの一つ。
■昔より流行ってます
鉄道が廃止になると人がいなくなる、なんて話をよく聞く。増毛駅跡も同様に往年の姿は見る影もなく……と思いきや、現役当時の姿を知っている人が今行くと、ちょっと意外に感じるかもしれない。
廃止日直前を除く晩年の増毛駅といえば、年季の入った魔改造木造駅舎に錆びた駅名標、草ボーボーの側線跡などなど、なんとも野晒し感のすごい場所で、訪れる人もまばらだった。
増毛駅は鉄道廃止後に大規模な観光地化リニューアル工事が施され、復元的な増築とレトロ調に化粧直しされた駅舎をはじめホームもきれいに整備。側線跡は駐車場に変わった。
しかも、週末となれば結構なお客さんで賑わい、駐車場もコンスタントに車が入れ替わる。鉄道がなくなってからのほうが、むしろ呼び物として人が集まるようになった、まるでゴッホの絵のような転身を遂げた廃線跡も珍しい気がする。
駅跡だけでなく、周辺には映画「駅 STATION」のセットを再現した観光案内所や最北の酒蔵もあり、街の中を散策して楽しめる。代替バスも割と使いやすいので、公共交通機関を使った旅の訪問先には今もうってつけの場所だ。
【画像ギャラリー】鉄道からバスに変わった留萌本線の端っこ(13枚)画像ギャラリー
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