小田原から神奈川県の果て・湯河原へ!! 電車じゃないと行けないでしょ!? と思うけど……

小田原から神奈川県の果て・湯河原へ!! 電車じゃないと行けないでしょ!? と思うけど……

 小田原→湯河原へのアクセスといえば、東海道線しかないくらい電車移動が定着していて、路線バスを使うプランなど思い浮かべすらしないかも。果たしてこの区間、バスだけで行けそうで行けないのか、それとも行けなさそうで行けるのか!?

文・写真:中山修一
(小田原→湯河原バス縛りの旅の写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

■西へ向かうバスはない?

小田原→湯河原ってバスで行けるの?
小田原→湯河原ってバスで行けるの?

 バスの心当たりがない場所へバスで行こうとする場合、何も知らないまま出たとこ勝負をかけるのは、本当に危ないのでやらないほうが無難。それが神奈川県の主要都市が絡むエリアだろうと要領は一緒だ。

 とはいえ、何もかも先に全部調べてしまうのも避けたいところで、バスに乗っている最中が、単なる「調査の確認」にならない程度に情報不足を残しておくのが理想のバス旅像、と思っている。

 そんなサジ加減で、バスがあるとすれば、小田原駅の恐らく東口バスターミナルから出ているであろう、湯河原方面への路線を探すことにした。

■箱根勢が圧倒する中で……

 小田原駅東口バスターミナルを発着する路線で、不動のアピール力と知名度を持っているのが、伊豆箱根バスと箱根登山バスが運行している箱根方面への各路線。

 さらにJR線の国府津駅や、小田急線の新松田駅へ行くバスも若干ある。数ある路線の中に、海寄りを走って湯河原方面へ向かってくれるバスが、一つくらい埋もれていたってバチは当たらなそうな気はするのだけれど。

小田原駅東口で出発待ちの石名坂行き箱根登山バス
小田原駅東口で出発待ちの石名坂行き箱根登山バス

 そう考えつつ、バスの路線案内や時刻表を眺めて10分くらい経った後、ふと「これそうじゃない?」と思わせる、脈アリな路線が目に留まった。

■石名坂という場所へ行く路線バス

 候補に挙がったのが、箱根登山バスの運行する路線。「候補」と言うより「これしかない」くらいの勢いを持った存在。ただし湯河原までは行かず、「石名坂」という所が終点になっているらしい。

 本数は1日5本。平日のみの運行で土日祝は全便運休になる、ダイヤ的にちょっと気難しい路線なイメージ。

 かなりローカルな逸材であるが、朝7・8時台に3本のほかは、バス遊びでも割と利用しやすい、13時台と15時台に1本ずつという嬉しい時刻設定。なるほど、これなら実行できそうだぞ。

■神奈川の隠れた名路線!

 小田原駅東口を13:48に出発する便を狙って、現地へ様子を見に行った。石名坂行きは8番乗り場から出ているとのこと。

 コミュニティバスまで行かないくらいの、ローカル路線バスらしさが溢れる、中型路線車の2010年式いすゞエルガミオが使われていた。最近は縦2灯配列の角目4灯顔もちょっと年代的な味わいが出てきた気がする。

 5名ほどが乗車して、小田原駅を時間通りに出発した。小田原の市街地を抜けて、小田原駅の一つ隣・早川駅のそばを通った後、国道135号線をメインルートにコマを進めていく。

 この国道135号線には、海岸線を沿うようにして道が通っている特徴が挙げられる。それに伴い、バスもまた海沿いを走ることになり、意外すぎるほどのオーシャンビューが望める。

見応えあふれる海沿いをビッタリ走ってくれる
見応えあふれる海沿いをビッタリ走ってくれる

 神奈川県の路線バスの中に、三浦半島を走る京急バスの「海35系統」があるが、この箱根登山バスの石名坂行き、もしかすると海35系統と並び、神奈川県内でも特に景色の良い所を通る路線かもしれない。

 海に近い所を走行中、小田原近辺でバス乗っててこういう凄いの見られるんだ? と、新鮮味を帯びた感動があった。

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