ここが終点だと? 路線バスの原風景を眺めるような県境越え系路線が島根県にあった!!

■見逃したくない楽しみ

 益田駅から乗っても20km以上の行程があり、一般路線バスとしては長い距離を走る部類に入る。県道14号、313号、170号を経て14号線に戻り、駅を出発して約37分後にいよいよ気になる県境が登場。

しかと標識見届けて萩市へGO
しかと標識見届けて萩市へGO

 島根県道14号/山口県道17号線上にある、「市上」と「堺」停留所の間に県境を示す標識が立っていた。バスに乗りながらこの標識を見るのが県境越え系バスで特にオイシイところ。

 県境を越えてアウェー側に入ると、あまり距離を稼がないまま終点に着くのは、二条線も他の県境越え系路線バスのフォーマットに則っていた。

小島停留所を後に、回送車となったエルガミオが去っていった
小島停留所を後に、回送車となったエルガミオが去っていった

 県境を越えて約4分後に、終点の「小島」バス停に着いた。所要時間は駅発で41分、運賃は970円だった。この日、他の利用者はおらず、図らずもまた低料金のショーファードリブンになってしまった。

■え、ここが終点!?

 以前、これまでに利用した県境越え系路線バスの路線データをもとに、同系列のバスが行く終点には、どんなところが多いのかをまとめてみたところ、電車の「駅」が圧倒的多数を占めていた。

出発側の車線にだけバス停標識と待合ベンチが置いてある
出発側の車線にだけバス停標識と待合ベンチが置いてある

 二条線の小島バス停が置かれている場所には何があるのか……ちょっと周辺を観察してみたところ、山を背景に田畑が広がるほか、建物は民家が中心な様子で、福祉施設もある。一方で観光要素はほとんどなさそう。

 上記のまとめを作った際、「駅」、「一般居住地域」、「観光地」、「病院」の、4つの場所的な性質(属性)に区分けしたが、二条線の終点を当てはめた場合、一般居住地域が最適か。

 一般居住地域が終点の県境越え路線バスというのも、2025年5月現在までに確認が取れている限りはかなり少数派。始発もまた駅ではないので、ますますユニーク。

県境越え系バスでは超珍しい(?)駅じゃない終点
県境越え系バスでは超珍しい(?)駅じゃない終点

 規模の大きな街から、郊外ローカルエリアの小さな居住地域を結ぶ。観光色のない日頃の足としての役割を担う二条線の雰囲気は、あくまで実用的な移動手段として誕生した、路線バスの原風景を眺めているかのように思えた。

 それにしても、終点で降りたら降りたで、どうやって帰ったらいいんだろうねこれ?

【バス路線の基本データ】
石見交通 二条線(益田医光寺〜小島)
・跨ぐ県:島根県 → 山口県
・移動距離:25.8km
・所要時間:51〜53分
・全区間の運賃:1040円
・停留所の総数:51
・山口県内の区間距離:約2.4km
・山口県内の停留所の数:4

【画像ギャラリー】石見交通二条線で行く県境越えバス旅(13枚)画像ギャラリー

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