万物の頂点に立つ“No.1”!! となれば……「1系統」のバスの特別感が凄すぎる!! @函館バス

万物の頂点に立つ“No.1”!! となれば……「1系統」のバスの特別感が凄すぎる!! @函館バス

 第1位や第1号、どんなものでも「1」を冠していると、よりハクの付いた存在に思えてくる……となれば? 路線バスには系統を番号で示しているものが大変多くなっているが、やはり「1系統」のバスは何か特別な性質を持っているのだろうか。函館バスの場合で確かめてみた!!

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に函館バス1系統の現地撮影写真があります)

■栄えある函館バス「1系統」

函館駅前のバスターミナル
函館駅前のバスターミナル

 1系統のバス調べはこれが第1回目。注目する函館バスは、北海道の函館市を拠点に幅広い路線バス網を広げる名門バス事業者だ。

 函館バスの路線には系統があり、基本的には番号(とアルファベット少々)で管理されている。系統数が膨大なため、番号も3ケタ代まで設定されている。

駅前4番乗り場から出ている函館バス「1系統」
駅前4番乗り場から出ている函館バス「1系統」

 全ての番号を把握するのは相当大変で、バス勘がないと利用に多少の困難を伴うのは、沖縄の路線バス事情にちょっと似ている。そんな函館バスにもちゃんと「1系統」が存在する。

■どこへ行くバスなのか

 函館バス1系統が走るのは函館の観光エリア。JR函館駅前のバスターミナルが始発になっている。気になるその行き先は?

1系統の行き先がコチラ!
1系統の行き先がコチラ!

 左右を海に挟まれ、中心部分を握って窄めたような、独特のカーブを描く地形の中にギュッと詰まった、凝縮感あふれる街並みの様子全体を高所から見渡せる、夜景の素晴らしさで有名な函館山である。

 バスの本数は平日1日6本(通常期)と、街中を走るバスにしてはローカルな様相。函館駅前発は13:30が初バスで、その後しばらく時間を置いて、17:30〜19:30までの間だけ30分おきに出ている。

バスなら夕方以降の函館山登山道路にそのまま進入できる
バスなら夕方以降の函館山登山道路にそのまま進入できる

 函館山といえば絵に描くよりも明らかな観光スポット。昼間行ってもきれいな景色が見られるものの、やはり夜間に人気が集中するのと、夕方〜夜は函館山の頂上へ続くアクセス道路に一般車の規制がかかり、バスとタクシーしか通行できなくなる。

 それもあってか、スムーズな進行と確実な需要が見込める時間帯に特化したダイヤ設定となっているようだ。

■ホンモノの観光の足

 函館駅前〜函館山までの運賃は片道700円。後払い方式なのは他の系統と変わらないが、運賃が固定されている点ではユニークだ。2025年4月から「市電・バス共通1日・1日乗車券」は対象外となっている。

函館山行きには「途中降車不可」の表示が
函館山行きには「途中降車不可」の表示が

 ちなみに同所の目玉交通機関となっている、函館山の麓〜山頂を結ぶロープウェイの運賃は片道1200円、往復1800円。バスのほうが安く、あとは好みによるところ。

 また、途中で数カ所の停留所を経由するものの、行きの便では途中降車ができず、反対に帰りの便は途中乗車不可のシステム。実質的に函館山への専用シャトル便と考えて良さそうで、この性質も他の系統と毛並みがだいぶ異なる。

函館バス1系統最大の目玉スポット!
函館バス1系統最大の目玉スポット!

 函館山へと続く登山道路が例年11月中旬〜4月初旬まで冬季通行止めになるため、函館バス1系統もまた同期間中は運休。乗れる期間が毎年限られる路線バスであるのも特殊性が強い。

■チラ見の美学

 函館の観光エリアからも函館山がよく見えるということで、すごく近そうな印象を受けるかもしれない。とはいえ函館バス1系統の全区間を見ると6.9kmあり、ちょっとした路線バス並みの距離を走る。

1系統の終点・函館山の山頂に到着
1系統の終点・函館山の山頂に到着

 所要時間は約30分。2025年5月に17:30函館駅前発を利用してみたところ、出発の20分くらい前には既にバス待ちの列ができていて、1系統が決してロープウェイの影に隠れた存在ではなさそうな印象を持った。

来たバスはそのまま折り返しの函館駅前行きに
来たバスはそのまま折り返しの函館駅前行きに

 バスが出発して観光エリアを経由しつつ、函館山登山道路に入ると、左右を木々に囲まれた、森林地帯の峠道を進むような景色が続く。

天気の良い日は遠方に駒ヶ岳が見える
天気の良い日は遠方に駒ヶ岳が見える

 そんな行程の中で、開けた場所を通る瞬間が3回あり、当日バスでもアナウンスが行われていた。バスの車窓から函館市街地の様子がチラッと見下ろせて、ほんの数秒ながらも感動的な光景が楽しめる。開ける場所は、函館山行きで進行方向左側が1回と右側が2回だ。

明るい時間帯もなかなか見応えがある
明るい時間帯もなかなか見応えがある

 さらに、外の景色をより鮮明に見られるよう、登山道路を走行中は車内の照明を消す演出があり、そこもまた通常の路線バスではまず考えられないスペシャリティだ。

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