事業者単位で移籍車を扱うこのコーナー。その第1回は、東京の城南エリアや神奈川県では川崎市、横浜市を中心に営業する東急バスをピックアップ。多摩川の中〜下流域を軸としたエリアに、都営、横浜市営、神奈中、相鉄などと一部クロスオーバーする地域にネットワークを持つ。
全国各地の元東急バスのうち、今回は主に1990年代のKC-規制車までのツーステップバスを紹介する。
東急バスでは、長らく国産4メーカーの車両をバランスよく導入しており、車体は純正(三菱は三菱ボディ)が中心で、大型は10.5m車の短尺前中引戸、リーフサス車が中心となっていた。
執筆・撮影■移籍車調査委員会(立木将人・今関義高/バスマガジンvol.101より)
東急バス車両の移籍先は広く全国各地に分布している
東急バスが導入していた車両は、神奈川県内には送力が必要な地域に長尺車も配置されてり、1987〜94年度は3扉車も導入された。都区内を中心に中型車の配置が78年度から一定数続いている。また、デマンドバスとして登場した東急コーチ用の車は多くが三菱のトップドア中型車で、一部に前中扉も見られた。
除籍のサイクルがかつては最長15年程度と長かったこともあり、移籍は東急グループに関係のある宗谷、函館、草軽、上田バスなどに限られていたが、1990年代末頃からは越後交通グループが多くの移籍車を受け入れている。
宗谷、函館、越後は東急バスの塗装にほぼ近い形で走り続けているのも特徴。中型車やいわゆるワンロマ、ハイグレードな新交通車は多くが移籍したが、長尺の3扉車の再就職例は少ない。
移籍車需要の高まりを受けて、2007年からは一部を除いて移籍対象となった。現在では12〜14年程度の使用で除籍となっており、移籍先は現在でも元東急グループの各社が多いものの、全国各地に分布するようになっている。