■険しい峠もトンネル1本
バスが駅を出発すると、日光東照宮のある世界遺産エリア方面に向けて、日光の町の坂道メインストリートを登っていく。
このバスはあくまで足尾へのアクセスを目的としているため、日光駅〜世界遺産エリア間の区間利用はできないルールになっている。
途中で地元のお客さんを何名か乗せ、日光の町を抜けて国道122号線に入ると、標高差440m程度の峠道を越えるべく、山の中にどんどん入っていく。
国道122号には旧道があり、そちらは狭隘な道幅に激しいつづら折りカーブが続いているようだが、現在の122号は直線が中心でカーブも旧道に比べれば緩やか。
旧道では難所の様相を呈する細尾峠の区間に至っては、1978年に開通した日足トンネルが山の下を通っており、バスもそこを通過する。延長2,765mと結構な長さだ。
■銅山跡をひとまわり
山系のローカル路線バスらしさ溢れる、緑に囲まれた景色が車窓を流れていき、出発して30分くらいすると、鉄道用の鉄橋(ガーダー橋)が見えてくる。
銅の出荷用に作られた貨物線の跡と思いきや、こちらはわたらせ渓谷鉄道線の現役の線路。鉄道の沿線に出ると、バスはわたらせ線の終点である間藤駅の前を通る。
さらに銅山の北寄りにあって現在は国の史跡に指定されている「本山製錬所跡」の近く・赤倉まで向かい、その後、赤倉で折り返して間藤駅の前をもう一度通り、足尾駅→通洞駅方面に山を下っていく。このバスに乗ると、ちょっとした銅山跡めぐりのオマケが付いてきてお得。
通洞駅から最短で1.4kmほど離れた「双愛病院」がバスの終点。バスは経路の都合で通洞駅から2.6kmほど大回りして終点に至る。
通洞駅の近くには、観光スポットの足尾銅山観光があり、この近くを通った際、運転手さんに「あんた病院で大丈夫?」と念を押された。ええ大丈夫です、このバスに最後まで乗りたかったんですスミマセン。
足尾JR日光駅線は30.4kmの全区間を所要時間58分で結ぶ。運賃は1,250円だ。双愛病院から先は、次の日光市営バスで来た道を戻るか、歩いて通洞駅方面に移動するかの2通り。
足尾には、わたらせ渓谷鉄道線が通っており、これに乗れば群馬県の桐生方面に抜けられる。
ちなみに今回とは逆のルートを辿れば、お手本に則った方法とはまた違う、なにかと反骨精神あふれる経路を使った日光への行き方ができる。
それも抜け道をメインルートとする、日光市営バス「足尾JR日光駅線」が毎日運行しているからこそ成し得る裏技か。
いささか他路線の影に隠れた印象こそあれど、一度存在に気付けば「え? ここからあそこ直で行けるの?」と感嘆する経路設定は大きな魅力。日光市営バス足尾JR日光駅線が、日光きってのダークホースであるのは間違いなさそうだ。
【画像ギャラリー】日光の隠れた名路線!? 日光市営バス「足尾JR日光駅線」(16枚)画像ギャラリー
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