日光で一番“濃ゆ〜い”路線!? 日光市営バス「足尾JR日光駅線」で元・鉱山の町へGO!!

日光で一番“濃ゆ〜い”路線!? 日光市営バス「足尾JR日光駅線」で元・鉱山の町へGO!!

 「え? ここからあそこ直で行けるの?」……そんな意外性を持った路線バスが、大型観光地の日光駅前から出ている。

文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、意外性の高い日光発の路線バスの現地撮影写真があります)

■山を越えて繋がる2つの町

栃木県の日光は日本が誇る超有名観光地の一つ
栃木県の日光は日本が誇る超有名観光地の一つ

 意外性を持った日光駅前発の路線バスが向かう先……それはかつて銅の産出で栄えた足尾の町だ。足尾といえば、1610〜1973年まで操業していた“あの”足尾銅山があった場所である。

 日光と足尾は位置関係的に隣同士であるが、間を山々が隔てている。しかしそこを突っ切る形で国道122号が通っている。

鉱山LOVEな向きには最高の現代史跡探訪スポット・足尾
鉱山LOVEな向きには最高の現代史跡探訪スポット・足尾

 その昔、国道122号は銅を輸送するための大動脈だったと伝えられる道筋ながら、現在は知る人ぞ知る抜け道的な山系ローカルルート。

 周囲を山に囲まれ「昔はバスがあったけど……」と思わせるような、マップで見るだけでも人里離れた空気感をこれでもかと放つ中、今も路線バスの通り道になっているのがミソで、興味関心を大きく誘う。

足尾の奥には、銅を積み出していた貨物線の廃線跡が残る
足尾の奥には、銅を積み出していた貨物線の廃線跡が残る

 そんな国道122号をメインルートに据えた、日光〜足尾を結ぶ気になるバス路線の正体、日光市営バスが運行する「足尾JR日光駅線」だ。

■「そこ走るんだ?」な路線バス

 日光〜足尾を山の抜け道ルートで直に繋ぐバス路線となれば、バス趣味の観点からアプローチすると、「そこ走るんだ?」と声に出したくなるほど、きょうび滅多にお目にかかれないディープな逸材に映る。

日光〜足尾を結ぶ日光市営バス「足尾JR日光駅線」
日光〜足尾を結ぶ日光市営バス「足尾JR日光駅線」

 もっとも「足尾JR日光駅線」は生活の足としての役割を担っているのが第一のはずであるが、2006年の合併で足尾町が日光市の一部になり、全区間が同じ市内で完結しているのが、バス運行の実現に一役買っていそう。

 それに加えて、現在あちこちに面影を残す足尾銅山跡が、東照宮や華厳滝と同じ、市の公式観光スポットに含まれているのも注目したい点。

 公式に推奨している観光スポット同士を繋ぐ公共アクセスを用意して、観光の流動性を高めるのは不自然ではなく、そういった昨今の状況から、日光〜足尾間における直通バスの存在意義を見出せる。

■日光駅の端から出てます

JR日光駅前に足尾JR日光駅線の乗り場がある
JR日光駅前に足尾JR日光駅線の乗り場がある

 日光市営バス「足尾JR日光駅線」は、曜日共通で日光発が7、9、13、16、17、19時台、足尾発は6、7、11、13、15、17時台の1日6往復。ローカルな本数であるのは間違いなく、利用にあたっては事前に狙っておくのが安心。

 日光側の始発はJR日光駅前。駅改札を背に、駅前ロータリーと道路を挟んだ左寄りに、JR日光駅前バス停の「1C」乗り場があり、そこに足尾行きのバスがやって来る。

1C JR日光駅停留所。標識に「足尾」の文字が
1C JR日光駅停留所。標識に「足尾」の文字が

 足尾JR日光駅線の様子を見に行ったのは、前日の2025年7月が2回目。13:00発の便をつかまえようとバス停で待っていると、出発10分前くらいから大勢の人たちが集まってきた。

 今日は入りが良いのかな? と思っていると、日光市営バスの日野ポンチョが登場。2022年から、足尾を走るわたらせ渓谷鉄道の一部車両と同じカラーに塗られている、足尾JR日光駅線のほぼ専用車だ。

 バスが停車して扉が開く。ところがバス停の前にいた人たちは誰も乗ろうとしない。バラバラ気味に並んでいたので、遠慮し合って動けなくなるあの現象かな?

日野ポンチョで運行される足尾JR日光駅線
日野ポンチョで運行される足尾JR日光駅線

 と思いきや、バス停で待っていたのは、どうやら同じ停留所に停まる、13:02発の霧降高原行きバスのお客さんだった模様。足尾JR日光駅線に乗り込んだ人は他に誰もいなかった。

 足尾JR日光駅線は整理券による運賃後払い方式。支払いは現金のみなので、あらかじめ小銭を用意しておくと後でスムーズ。

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