鞍馬自動車と嵐山バスの合併で誕生した洛北・洛西の足 バス会社潜入レポート・京都バス:編[1]

鞍馬自動車と嵐山バスの合併で誕生した洛北・洛西の足 バス会社潜入レポート・京都バス:編[1]

 ひとつのバス事業者を掘り下げて紹介する、バスマガジンの名物コーナー。今回は2017年に遡って、5月発売号で掲載した、京都バス編を振り返って紹介する。

 京都バスは京都市右京区に本社を置き、JR京都駅・阪急河原町駅・京阪三条駅といった都心のターミナルから、グループの嵐電・叡電沿線、洛北山間部の花背(はなせ)地区や大原地区、さらに滋賀県大津市・高島市へと路線を延ばす。

 京都市中心部では市バスと協調しながら、また洛西・洛北では独自に、地域住民と観光客の足として営業を行っている。

(記事の内容は、2017年5月現在のものです)

構成・執筆・写真/加藤佳一(B.J.エディターズ)
※2017年5月発売「バスマガジンVol.83」より

【画像ギャラリー】京都バスが走る風景を見る! バス会社潜入レポート・京都バス:編[1]


嵐山・高野の2営業所体制で洛西・洛北の路線バスを運行

●鞍馬

叡山電鉄鞍馬線の終点・鞍馬駅は鞍馬寺の門前。重厚な山門を見上げる古い街並みを国際会館駅前行きの中型バスが行く
叡山電鉄鞍馬線の終点・鞍馬駅は鞍馬寺の門前。重厚な山門を見上げる古い街並みを国際会館駅前行きの中型バスが行く

 京都バスは京阪グループの企業であり、京福電気鉄道の子会社。京福電気鉄道は『嵐電』と呼ばれる嵐山本線・北野線に加え、いまは叡山電鉄が運行する『叡電』こと叡山本線・鞍馬線を1986年まで営業しており、京都バスの路線も京都市中心部から嵐電・叡電の沿線に向かって延びている。

 営業所は嵐山と高野に置かれ、前者が嵐電沿線、後者が叡電沿線の路線を主に所管。乗合バス営業キロ224、0km、従業員数296人である。

 嵐山管内の路線はほとんどが市バス路線と重なっているが、太秦映画村周辺と清滝、苔寺・すず虫寺へは京都バスだけが乗り入れる。京都駅前発着系統、四条河原町・三条京阪前発着系統のほか、阪急嵐山駅前を起終点とする系統も運行。嵐山公園~阪急嵐山駅前間は道路幅が狭いため、誘導員が配置されている。

●京都駅前

京都駅烏丸(からすま)口には計10系統が発着。日中20分間隔の大原行きと苔寺・すず虫寺行きは、いずれも多くの観光客が利用
京都駅烏丸(からすま)口には計10系統が発着。日中20分間隔の大原行きと苔寺・すず虫寺行きは、いずれも多くの観光客が利用

 平日朝の京都駅前行きには快速便も設定。秋の紅葉シーズンには阪急嵐山駅前~西山高雄間の嵐山高雄線が一日3往復程度運行される。

 京都駅前と比叡山頂を結ぶ比叡山線も嵐山が所管。京阪バスとの共同運行で、京都バスは2往復を担当し、路線は滋賀県大津市へと乗り入れている。

 高野管内は鞍馬・花背地区、岩倉地区、八瀬(やせ)・大原地区など、京都バス単独の運行区間が広域にわたる。京都駅前発着系統、四条河原町・三条京阪前発着系統に加え、京阪出町柳駅前と地下鉄国際会館駅前を起終点とする系統なども運行。

 京都産業大学の学生輸送も担っており、出町柳駅・国際会館駅との間には直行便も設定されている。

●嵐山(渡月橋)

山桜をバックに渡月橋を渡る京都駅前行き。嵐山・嵯峨野地区は2014(平成26)年に均一運賃区間に編入され、観光客の利便性が向上した
山桜をバックに渡月橋を渡る京都駅前行き。嵐山・嵯峨野地区は2014(平成26)年に均一運賃区間に編入され、観光客の利便性が向上した

 叡電鞍馬駅周辺の狭隘路には誘導員を配置。その先、花背峠を越える花背線は所要およそ2時間、一日3、5往復というローカル路線である。出町柳駅起点の比良(ひら)線は3月中旬から12月中旬の土日祝日に2往復運行され、大原から府県境を越えて滋賀県高島市の朽木学校前まで足を延ばす。

 また大原鞍馬線は毎年春分の日のみ、大原→鞍馬の片道1便だけが走る異色路線だったが、近年の観光需要の高まりに応え、この春から大原~貴船口間の3往復が通年運行されるようになっている。

 かつて競合関係にあった市バスとは協調体制を構築。「京都観光一日乗車券」や「市バス・京都バス一日乗車券カード」といった両者共通のフリー切符の販売に加え、近年では運賃箱や車内インフォメーションの共通化、停留所標柱の共用化、両者で調整した等間隔ダイヤの作成なども行われている。

 なお、2007年には市バス西賀茂営業所の一部系統の運行を受託。14年からは錦林(きんりん)出張所のすべての系統の運行を受託している。

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