3.お酒は残さないで!
お酒は事業者によっては現在のところ世情を反映して「ご遠慮」のお願いがなされている。これは車内でお酒が飲める場合の話だ。飲めるのであれば寝酒に、あるいは夜行バスの楽しみとして飲んで構わないのだが、これは前述の「こぼさないで!」に加えて「お酒は残さないで!」だ。
飲み残しは倒れるとこぼれることになるのだが、そうならなかった場合は最終的に運転士が中身を処分することになる。ビールやチューハイがまだ残っている缶を運転士が手に持って車庫をウロウロしている姿を想像していただきたい。
笑い事では済まされない地獄絵図になったことが実際にあるそうだ。空ならばゴミ袋に他のゴミやペットボトルとともに入れて降車すればよいが、運転士が中身の入ったアルコール飲料を持ってバスから降りてきたら大騒ぎになる。
実話なので、「お酒はできれば飲み切っていただくか、缶は持って降車していただきたい」とのことだ。
4.ニオイの強い食べ物
お次は食べ物。やはりニオイの強い食べ物は考えてほしいとのことだ。さすがに豚まんをバス車内に持ち込んで食べる人はないだろうが、いくら換気をしているとはいえ、高速バスの多くは固定窓で密室なので「お弁当やおつまみ、おやつはニオイのことを考慮して乗車いただければありがたいです」とのことだ。
5.私の座席はどこ?
最後はIT化が当たり前になった昨今の「あるある事件」だ。乗車券を窓口やコンビニで購入して紙の乗車券を持って乗車することよりも、スマホでネット決済してQRコードで乗車する人が多くなってきた。
事業者によって改札方法は異なるが、夜行バスの場合は運転士が降車して乗車券の確認やQRコードを読み取って改札をする。この時によく起こる事件だ。
QRコードで乗車した乗客から「自分の座席が分からない」という申し出が結構あるそうだ。最近は予約時に空席表から好きな座席を指定して購入可能な事業者が多いが、それを忘れてQRコードだけを提示して乗車して安心しきってしまっているようだ。
もちろん、QRコードを表示しているスマホの画面をスクロールするとちゃんと座席番号が書かれているのだが、とにかく乗車することだけに集中して座席番号が分からなくなってしまっている乗客がちらほら。
完全ペーパーレスを実施している事業者の場合は、運転士は読み取り端末を持って降車している。ところが改札済みを表示するタブレット端末は運転席にあるのでその場では分からない。
バス車内に入って初めて自分の座るべき座席が分からないことに気が付き、運転士に聞くためにまた降りてくると、トップドア車なので次の乗客が乗れない。
運転士は座席が分からない乗客のスマホをスクロールさせて座席番号を確認させるのだが、その時にはすでにQRコードを表示している予約画面は閉じられていることが多い。取材した運転士は「お客様が分かりにくい表示をしている事業者側に設計の問題がある」と嘆くが、いずれにせよ改札や発車が遅れる要因になる。
「乗車前にQRコードを表示して準備しておいていただくのは本当にありがたいのですが、できればその時に座席番号も確認しておいていただければありがたいです」とのことだ。
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