全国デビューしたけれど……
日本国内でトロリーバスが走った(る)地域と年代は以下のようになっている。
宝塚(1928〜32年)
京都(1932〜69年)
名古屋(1943〜51年)
川崎(1951〜67年)
東京(1952〜68年)
大阪(1953〜70年)
横浜(1959〜72年)
立山黒部アルペンルート・関電トンネル(1964〜2018年)
立山黒部アルペンルート・立山トンネル(1996年〜)
際立つメリットとは裏腹に、大抵の路線は短命に終わっているのが特筆される。
これは、高度経済成長期にディーゼルエンジンで動くバス車両が大型化して輸送力の差が縮まった、高度経済成長期の自家用車の急速な普及によって通行量が劇的に増えた結果、足が遅く小回りの効かないトロリーバスは変化の波に乗れなかった、普通のバスよりもコストがかかるなどが、トロリーバスが姿を消していった主な理由と考えられる。
初めは画期的に映った交通システムも、時代の流れによって日本の土壌に合わなくなってしまったのだ。トロリーバス廃止後は、普通の路線バスや地下鉄が代わりを担うようになった。
高度経済成長の前、老朽化を理由に廃止した名古屋の場合、トロリーバスを路面電車で置き換えるという皮肉な結果を生んでいる。
2022年現在、日本でトロリーバスを運行しているのは、立山黒部アルペンルートの立山トンネルを通る路線が唯一だ。
海を渡れば立場も変わる
日本では根付かなかったトロリーバスも海外へ目を向けると、路線の数こそ減ってきているものの、多くの国で路線バスや路面電車と共に活躍している。
主な国として、アメリカ、アルゼンチン、イタリア、ウクライナ、オーストリア、カナダ、北朝鮮、スイス、チェコ、中国、ドイツ、トルコ、ノルウェー、ハンガリー、フランス、ポーランド、メキシコ、ロシアなどがある。
トロリーバスが全くの厄介者というわけでは決してなく、その国・その地域の土壌にマッチしていれば、今でも有用な乗り物の一つに数えられるのだ。環境問題への取り組みが重要な課題となった昨今では、エコの観点からトロリーバスが再注目されつつあるのも見逃せない。
電車のような、自動車のような?
ゴムタイヤを履いていて、箱型のボディ。見た目は完全にバスの姿でありながら、屋根上にそびえるポールの存在が電車っぽさをアピール。電車なのか自動車なのか判断に困るのがトロリーバスの特徴でもある。
日本の場合、法律の上で実はトロリーバスは電車の扱いとなっていて、日本語で書くと「無軌条(無軌道)電車」になる。それなら電車の免許だけで運転できるのか、と言えばそうではなく、通常のバスの免許(大型二種)も必要。どちらとも取れる要素がココでも絡んでくるわけだ。
日本での現役は1路線のみ、保存車も数えるほどしか残っていない“激レア”な存在であるトロリーバス。普通のバス車両とは一味も二味も違うキャラクターを楽しむのも、たまには悪くない。
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