バスはディーゼルエンジンで走る。最近はハイブリッドだったり、電動モーターとバッテリーで走る電気バスも登場しているが、依然としてディーゼル車が多数派だろう。
それとは対照的に、ディーゼルでもハイブリッドでもバッテリー車でもない、日本国内では極めて特異な、超少数派の走行方式を持ったバスがある。それは「トロリーバス」だ。ではこのトロリーバス、どんなバスで、どこで使われている(た)のだろうか。
文・写真:中山修一
【画像ギャラリー】バス界きっての激レアさん 「トロリーバス」ってどんな車?(5枚)画像ギャラリー電車みたいに走るんです!!
最近はトラムと呼ぶほうが多いものの、かつて路面電車のことをトロリーと表現していた時代があった。さてこのトロリー、元々はレールの上に乗せて転がす荷車の車輪(a cart)を意味する英語の方言(trolley)だったようだ。
荷車の車輪→電線から電気を拾うために用いる装置→その装置からパワーを取って走る乗合軌道→路面電車、のように転じていき、1889年にトロリー=路面電車で定着した。
そのトロリー方式でバスを走らせれば、電線(架線)から電気を拾ってモーターの力で走るバス、になるわけだ。
トロリーバスが通る道の上方には、路面電車と同じように架線が張られており、架線に流れる電気を拾うための長い棒(ポール)が車両の屋根の上から2本突き出ているのが、普通のバスと大きく異なる外観上のポイントだ。2本あるポールのうち片側が+極、もう1本が−極になっている。
トロリーバスを英語で書くとTrolleybus、ドイツ語だとOberleitungsbus(オーバーライトゥングスブス)だ。
いいことづくめ! だった?
最初にトロリーバスが誕生したのは1882年のドイツだ。20世紀の初頭からトロリーバスは世界中に広まっていったのだが、どうしてこのような走行方式の交通機関が発展したのだろうか。よく言われるメリットとしては
・路面電車ほどコストがかからない
・普通のバス(当時)よりも多くの乗客を運べる
・坂道に強い
・追い抜きや障害物を回避できる
・音が静か
・排気ガスが出ない
などが挙げられる。路面電車が全盛だった時代は、運営コストの問題に悩まされる事業者も多かったようで、比較的安価で大量輸送が可能、左右方向への動きにある程度の自由がある等……トロリーバスがいいことづくめに見えるのは確かだ。
日本でも昭和時代にトロリーバスへの関心が高まり、京都、名古屋、東京、大阪など各地で路線が開業した。ただし、架線から電気を取る性質上、大幅な迂回ができないのは路面電車と同じであるため、路面電車に取って代わることはなく、互いを補完し合うような形に留まっている。
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