■乗用車にはないスイッチ?
さて、そもそもバスを動かすのにはエンジンを掛けなければならないが、どんなに古い乗用車でもキーを差して回せばエンジンがかかる。最近はブレーキを踏んでボタンを押せばエンジンスタートだが、バスはもうひと手順ある。
乗用車にはないのが「メインスイッチ」だ。車種にもよるが、たいていは回して引っ張るタイプのスイッチになっている。これはバッテリーの主回路スイッチで、これをONにしない限りキーをいくら回してもエンジンはかからない。運転体験ではエンジンはかかっていると思うが、バッテリーのようなマークのノブがキー差込口の近くについていて最初から引かれていたらそれがメインスイッチだ。
バスは一見してそうは見えないが大量の電気を使う。スターターは最初だけで、ディーゼルエンジンにはスパークプラグはないので大量の電気を使うのは始動時だけだ。しかし電装品は多い。車内灯、運賃箱、運賃表、放送設備、降車ボタン、整理券箱、大容量のエアコン、高速車や貸切車だとトイレ、温冷蔵庫、AV設備、サービス用コンセント等々、バッテリーをかなり酷使する。
エンジンがかかる前にキーがアクセサリー位置で大量の電気が流れてしまうとバッテリー上がりが起こりかねないので、このように回路そのものを遮断するスイッチが付いている。エンジンを切った後は当然ながらメインスイッチも切る。
■運転は最低限の技能
運転体験では、もしかしたらドア扱いまで体験させてくれるかもしれないが、いずれにしてもバスの運転は運転士になる最低限の技能であり、他に乗客対応があるので実際にはそちらにエネルギーを消費する。
運転士を目指す方もそうでない方も、運転士の仕事というのはバスの運転だけではなく、前述したとおり、乗客対応が多くの割合を占めるということを知っていただきたい。
バス乗車の際にはスマートに乗ることが運転士の負担を減らし、より安全に注力できることを覚えていただいて、機会があれば運転士のイロハのイを体験していただきたい。
また大型二種免許をお持ちの方であれば、自動車学校のペーパードライバー講習で路上運転することも可能なので、お近くの学校へお問い合わせいただきたい。
【画像ギャラリー】【バス運転士不足問題】普通AT限定で運転体験会に参加して本当に運転できるの?(6枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方