■波動輸送のスペシャリスト
観光地を駅から遠くに持ち、生活路線と重複するのに何とか広域ネットワークを活用して波動輸送を行っている事例もある。三重交通だ。同社では神宮への参拝客を輸送するために蓄積された観光客動向を駆使して、駅から直行する臨時バスを乗客数に応じて無線配車している。
連節車やグループ会社の貸切車が登場することもあり、運賃は臨時にバスのりばに設置する「自動改札機」でIC精算を行い、現金利用者には乗車券を発行する。これにより運転士を運賃収受業務から解放し、輸送のための運転に専念できるように工夫している。
三重交通の事例は全国的に見てもまれだろう。普段は競合事業者であっても広域ネットワークを組織して、柔軟に増車や臨時便の設定を行わないと、観光・生活の双方が共倒れしかねない状況だ。参入規制を無秩序に取り去ったおかげで真綿で首を絞められているがごとく体力を消耗しきってしまったのがバス事業者だ。
競争原理を否定はしないが、今こそ事業者同士が柔軟に協力できるように仕組みやルールという点において規制緩和をするべきなのかもしれない。
【画像ギャラリー】【バス運転士不足問題】オーバーツーリズムで観光も生活も共倒れの恐れあり?参入規制緩和ではなく仕組みの規制緩和を急げ!(10枚)画像ギャラリー
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