ラッシュ時やイベント輸送の際に中ドアが開かず、運転士が「線の内側まで下がってくださーい!」と声をかける光景を見かける。電車ではいくら詰め込まれてもドアは開くのにバスではなぜ開かないのだろうか。仕組みを見てみよう。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■電車のドアは力技?
通勤型の電車のドアは、見事にパンパンに詰め込まれて車内からの圧力が予想以上になり、ドアが開かないという極端な場合を除いて、ドアエンジンのパワーで閉まるし開く。
常時混雑していて、特にラッシュ時の混雑がひどい路線では、最初からドアの数を増やしたり、ワイドドアと呼ばれる幅の広いドアを採用して乗降時間を短縮しようとする試みが行われてきた。
それもホームドアの設置でドアの位置関係を統一しなければならなくなり、特殊なドアの車両は減ってきている。
■バスのドアはインターロック
バスはかつては路線車でも2ステップ車が当たり前で、ドアの前はステップしかなかったが、最近はノンステップが主流だ。乗車すればそのまま客室のフロアになっているので、乗降口との明確な境はない。
しかし、それでは満員で立席が出た際にドアを開けると危険なので、センサーを設置してドア付近に人がいるときにはドア扱いをしても開かないインターロック機構が付いている。
■黄色い太い線がセンサー位置
最近の路線車では中ドアの手前に太い黄色い線が引かれている。この線の延長上にセンサーがある。線の上に足を置くとセンサーが作動し、運転士がドアを開ける操作をしてもセンサーが検知しなくなるまで開かない。
満員のバスで立席を余儀なくされているときは、仕方がない面もあるが走行中はともかく、停留所に到着したら黄色い線からは足を引っ込めてスムーズにドア扱いができるようにしておこう。
■停車時にインターロック!
この安全装備であるインターロック機構は、バスの運転操作にも採用されている。まだ動いているのにドアが開くのは大変危険なため、最近のバスは走行中の誤操作はもちろんだが、停車直前に運転士がフライングでドア扱いをしても開かないようになっている。
スイッチ自体は操作できるがインターロック機構が働いてドアは開かず、代わりに警告音がなり続ける。停止したことをシステムが検知して初めてドアが開く。
■発車時にもインターロック!
またドアを閉めながらフライング発車もできないように、ドアが完全に閉まったことをシステムがチェックして、初めてギアが入り走行できるようになっている。
このように客室側でも運転操作側でも二重、三重に安全をチェックしてヒューマンエラーによる事故を未然に防ぐ機構が備わっている。
よって、昔はやろうと思えば停車する寸前にドアを開ける操作を行い、発車直前にマニュアル車の場合は2速に入れてクラッチを踏みドアを閉める操作と同時に発進するという遅れがちな路線バスを1秒でも早く出発させようという芸当もできた。
しかし今のバスは厳格にシステムがチェックを行っているので時短ができない。よって停車・乗降・発車に時間を要することもある。すべては安全のために備えられたシステムなので、バスに乗る際には理解しておきたい。
【画像ギャラリー】満員で早く降りたいのにバスのドアが開かなーい!ドアだけでも幾重の安全機構が?(4枚)画像ギャラリー
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