バスの運転士が不足している中で、外国人観光客が多く押し寄せて、そうでなくても混雑する路線バスがオーバーツーリズムで大変なことになっている地方もある。根本的な解決には運転士を増やしバスの台数を増やすことなのだろうが、今すぐにできることはないのだろうか。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■日本での大量輸送は連節車
1台のバスで大量輸送できる連節車を走らせる事業者が増えてきている。概ね都市部のBRTとしての運行が多い。車種にもよるが、輸入車の場合は日本の保安基準や規格等に合わないため、個別に許可を取り運行している。
連節車は一人の運転士で一般的な路線バス約2台分の乗客を乗せることができるので、事業者にとっては願ってもない車両ではある。しかし問題がないわけではない。
前述の通り、車種によっては個別に許可を受けなければならない他、長い車両に合わせたバス停の整備や、けん引免許は不要であるものの乗務員の訓練は必要になる。全長が長いことによる路線そのものの引き方に制限があり、事はそう簡単ではない。
■ダブルデッカーの可能性
日本でダブルデッカー車というと、もっぱら見晴らしのよい貸切車による観光バス、または多くの人を運べる高速車に限られる。長さ方向に伸ばす連節車と違い、高さ方向に伸ばしたダブルデッカー車でも大量輸送できることには違いない。
アジアでは香港でダブルデッカー車による路線バスが多く運行されていて、マカオや中国本土に至る高速車にも使用されている。英国のロンドンバスはその走りと言えるのではないだろうか。しかし日本で路線バスとして導入している事業者はない。
■香港でのダブルデッカー路線バス
香港では日本と同じ左側通行なので、左側にドアがある。運賃計算は少し変わっていて「変則均一制運賃」とでもいえばいいのだろうか、乗車地から終点までの運賃を前乗りで先払いする。
よって残り停留所が少ない終点近くのバスに乗ると安く、そのバスの始発地近くだと高くなる。目的地によっては同じ距離でも系統により運賃が異なる場合もありうる。バス停には当該路線での運賃が明記されているので、目的地に行くバスが複数ある場合は運賃を比較する必要がある。
ダブルデッカー車の構造は、1階席は最後尾までフルフラットで日本でも都営バスなどが持っているボルグレンの路線バスと似ている。
■立席禁止の2階席
2階席には運転席後ろの階段を使用して上がるので車内前方に階段があるイメージだ。日本のダブルデッカー貸切車と同様に最前列はパノラマだが、路線車なので2+2の固定4列シートが最後列までぎっしりと並ぶ。よって着席定員はかなり多い。
路線バスである限りは多くの乗客が集まる観光路線もあれば、朝夕の通勤通学ラッシュもある。当然ながら詰め込んで走るしかないのだが、香港の路線バスは安全のため2階席は立席乗車が禁じられている。
2階に上がって座席がなければ1階席に戻り立席だ。それでもかなり多くの人が2階席に座れるため、乗客の入れ替わりが多い生活路線では、満員バスでも長時間立ちっぱなしということは少ない。
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