毎年春の訪れを迎える季節になると、路線バスをはじめ各種公共交通機関界隈で目立ち始めるキーワードといえば「廃止」だ。なくなってしまうのは悲しいことだが、その「廃止」、バスの世界にはいろいろと種類がある。
文・写真:中山修一
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■今年も各地で姿を消す路線バスの数々
全国の各バス事業者が公表している、ダイヤ改正のニュースリリースに目を通すと、2025年もまた、同年3月下旬をめどに路線バスの運行を取りやめる告知が、それほど地域に関係なく見られる。
利用低迷、燃料費高騰、便数の整理、並行している鉄道路線の利用促進、バス車両の老朽化ほか、バスを廃止する理由は事業者によって様々。
しかしこの2025年は、近年急に問題視されるようになった、バス運転士不足を廃止理由の一つに書き加えている事業者がかなり多いのも、昨今のバスをとりまく厳しい状況を色濃く映し出しているようだ。
■廃止にも種類がある?
そういった各社のリリースを読んでいくうちに、ふと、廃止に対する書き方に特徴があると気づいた。バス事業者によっては、廃止対象となるバスを「路線廃止」と「系統廃止」に、項目を分けて掲載していることがあるのだ。
バスが走らなくなる、という事実は変わらず、バスを利用する側からすればどちらも一緒なのかも知れないが、廃止にも種類があるの? と思えてくる。路線廃止と系統廃止……はて、何が違うのだろう?
■噛み砕くのが難しい……
まずは「路線」と「系統」の違いを知れば、路線廃止/系統廃止の性質が分かってきそう。いつものように軽く掘り下げてみたところ、路線/系統には法律が深く関わっているのがすぐに見えた。
国土交通省のWebサイトなどに、バス事業を運営するにあたっての要領や条項、ガイドラインなどが公表されていて、それらのどれかに答えが出ているハズ。
とはいえ、そういった資料をそのまま読もうとしても、六法全書を読破・理解するのが趣味な向きでもない限り、読めば読むほど却って謎が深まる状況に陥ってしまう恐れが強いのは、法律関係全般の「あるある」だろう。
■路線→範囲/系統→道筋
各資料の中で特に分かり易いと思えたのが、国土交通省関東運輸局の「道路運送法の基礎知識」だった。この資料に書かれた説明を参考にした場合、非常に大まかであると断りを入れる必要があると思うが、路線/系統には以下のような違いを見出せた。
例えば、A4サイズのコピー用紙を1枚置いて、左端をA地点・右端をB地点とする。そのコピー用紙の上に動くバスの模型を置いて、A〜B地点間を走らせようとした場合、コピー用紙1枚全ての範囲が、模型のバスの「路線」に相当する。
次に、コピー用紙上のどこかにC地点を作り、C地点を経由しながらA〜B地点間でバスを走らせようと考え、毎回同じ所を通るように模型のバスを導くため、道筋代わりの線を鉛筆で引いたとする。そのA〜C〜B間を結ぶ線こそが、模型のバスの「系統」にあたる。
・路線 → バスを走らせて良い“範囲”
・系統 → 具体的な“道筋”
といった感じだろうか。系統は同じ路線の中に複数作っても構わず、路線の範囲内なら起点/終点が異なっていてもOK。実際、同じ出発地/目的地ながら中間の経路だけ違う路線バスなどが全国的に結構見られる。
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